GGO編ーファントム・バレット編ー
62.現実の襲来
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し倒すと、自身もベッドに乗り、太腿に跨る。その間も、うわ言のように呟き続ける。
「.......安心して、朝田さんを独りにはしないから。僕もすぐに行くよ。二人でさ、GGOみたいな......ううん、もっとファンタジーっぽいやつでもいいや、そういう世界に生まれ変わってさ、夫婦になって、一緒に暮らそうよ。一緒に冒険して.....子供も作ってさ、楽しいよ、きっと」
そんな狂った恭二の言葉を聞きながら麻痺した思考の一部でそれでもどうにかして言葉を繋げなければならない。もうすぐ警察が来る。この二つの言葉だけを巡らせて自分でもなんて言ったかわからないが恭二との会話を無理やりにでもつなげる。
「朝田さん......僕の、朝田さん.....ずっと、好きだったんだよ.....学校で.....浅田さんの、あの事件の話を.....聞いたときから......ずっと.....」
「........え.......」
恭二の言葉に思わず眼を見開いた。
「そ.....それって....どういう.....」
「好きだった......憧れだったんだ.....ずっと......」
「......じゃあ......君は.....」
そんな、まさか、と心のなかで呟きながら、消えそうな声で訊ねる。
「君は.....あの事件のことが、あったから.....私に、声を掛けたの......?」
「そうだよ、もちろん」
恭二は左手で、私の頭を撫でながら、何度も頷く。
「本物のハンドガンで、悪人を射殺したことのある女の子なんて、日本中探しても朝田さんしかいないよ。ほんとに凄いよ。言ったでしょ、朝田さんには本物の力がある、って。だから僕は、《死銃》の伝説を作る武器に《五四式》を選んだんだ。朝田さんは、僕の憧れなんだ。愛してる.....愛してるよ.....誰よりも.....」
「......そん.....な......」
眼の前の少年は、この現実世界で肉親を除いてただ唯一心を許せる存在とも信じていたのだ。
体と意識がその接続を途絶えようとしている。詩乃という心が深い絶望の水の中へと沈んでいく。
その時、ふと思う。
彼らはどうなったのだろう。
二年間も仮想の牢獄に閉じ込められ、そこで何人もの命を奪うことになったあの少年たち。長い戦いの中、大事な存在を失うこともあっただろう。それでも彼らは、あの絶望的な死銃との戦いに勝利した。
(君たちは強いね、シュウ、キリト)
深い闇の中で、ぽつりと呟く。
(せっかく助けてもらったのに.....無駄にしちゃって、ごめんね......)
彼らは、ログアウトしたらすぐに警察に連絡すると言っていた。
彼らなら警察に連絡した後で私のアパートに来るのではないか?だとする
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