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Element Magic Trinity
命の盾
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者―――――。








「エル・・・ザ」








8年もの間信じ、想い続けた女性と、その仲間を庇う男―――シモンは。

エルザの名を途切れながらも呟き――――仰向けに、倒れ込んだ。







「シモーン!!!」

ドサッと倒れるシモンにエルザは駆け寄る。

「まだうろうろしてやがったのか、虫ケラが」

溜息をつき、吐き捨てるようにジェラールが呟く。

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・ぁ・・・ぁ」

呆然と目を見開き、沈黙するナツ。
何かを紡ぐように口を動かすが、その声が、口が、全てが震え、声に出来ないティア。

「何でお前が!!!逃げなかったのか、シモン!!!」

エルザの叫びに、シモンはゆっくりと目をエルザに向け、薄い笑みを浮かべる。

「よ・・・よかっ・・・た・・・ハァ・・・ハァ・・・いつか・・・お、お前の・・・ゲホッ・・・役に・・・立ち・・・たか・・・ガファ」

息を切らし、声を出すのもやっとな状態にも拘らず、シモンは必死に言葉を紡ぐ。
その顔に浮かぶ表情は、笑顔は、優しくて、暖かった。

「解った!!!いいから、もうしゃべるな!!!」

エルザの左目に、涙が浮かぶ。
こんなに傷を負った状態で、何の防御系魔法も使わずにあれ程の魔法を喰らってしまったのに、そこでさらに声を発せればどうなるか―――エルザには解っていた。
だから、喋ってほしくなかった。

「お前は・・・いつも・・・・・・やさしくて・・・やさしくて・・・・・・」

シモンの眼帯をしていない目から、涙が溢れる。
彼も解っていた。自分が盾となれば、自分がどうなるか。
それでも、守りたかった。己がどうなろうと、守り抜きたかった。

「・・・・・・シモン・・・」

自分を支えるエルザが、幼き時の、奴隷時代のエルザと重なる。
8年前、自分が知るエルザの姿―――――。

『シモン!』

明るい声で自分の名を呼び。
明るい笑顔を自分に向ける。

そしてシモンは――――ずっと伝えられなかった言葉を、心の中で―――――









―大好き・・・だった・・・-









ずっと、伝えたかった。








でも、伝えられなかった。








その言葉を、その想いを胸に。









ゆっくりと、その目を閉じて。













――――――シモンは、ゆっくりと、息を引き取った。











「イヤァァアアァァアァ!!!!!」

エル
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