理想の先と彼の思惑
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私にこの人は救えない。
この人はそれを望んでいない。
私は何もできない。
桃香様に引き合わせてしまったのは私だった。
耐える事を強いてしまった原因は未熟な私のわがままだった。
この人は軍に入る事を拒んでいたのに。
最初から桃香様の理想の本質を見抜いていたこの人は他の王に出会えていたならここまで耐えなくてもよかったのに。
後悔と自責に押しつぶされそうになり涙が零れだした私の頭をいつものように撫でてくれる。
「ごめんなさい。私のせいでこの軍に」
耐えられなくなってつい零れてしまった。謝ることで時が戻るわけではないのに。
「……俺は俺の意思でここに入った。だから雛里が謝る必要はないよ」
そうやっていつもこの人は全て自分で背負っていく。
「雛里がいなかったら俺はきっと潰れていた。いつも支えてくれてありがとう」
その優しい言葉に耐えきれなくなり抱きつく。
私はこれからこの人が壊れないためになんでもしよう。
引き込んでしまった責任はそれで許されるわけじゃないけど。
心の内にそう決め、今は秋斗さんの優しさに包まれている事にした。
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