理想の先と彼の思惑
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るから問題ない……しかし世界改変などとバカげた任務のために乱世を伸ばそうとしている事は許されるモノではないだろうな。
ただ長い乱世にもいい所はある。
この時代の民達は圧倒的な力を持って乱世を治めた支配者を頼り、それによって治世が長く続きやすくなる。それはこの大陸の歴史が証明していることでもある。
治世になれば桃香の思想を民にも権力者にも根付かせ、法と規律と徳によって秩序を守り、欲に遁走する者を行き過ぎる事のないように縛れる。
朱里と雛里がいれば大本はできるだろう。他の勢力の者も傘下に入るのだから上手くいくはず。
曹操を丞相に置くことが出来たなら最高の形だが。
桃香という庶人の希望と曹操という反乱分子の抑止力、どちらも長い平穏には欠かせない。
……ここまでにしておこう。この世界は完全な三国志ではない。
ここでは何が起こるか完全にはわからないから元居た世界の常識にとらわれ過ぎてはいけない。
だがここまでの流れから見るに人物が違っていても大局は変わらない気がする。
まあ俺はどんな事が起ころうとも理想的な形に持って行けるように動くだけだ。
「これは俺だけが背負うモノだ。誰にも背負わせるわけにいかないな」
言葉に出して覚悟を確認する。
俺が桃香に出会ったのもあの腹黒幼女の意思だろう。世界改変のために無駄な事はしないはずだ。
呂布戦の時、何故か繋がった白の世界でのあの女の独り言はノイズが入って全く思い出せない。
ただ、俺があの時死ななかったのはこの選択が正しいからだろう。
思考を重ねているうちに幾分か昏く燃えたぎっていた感情も落ち着いた。
俺は掌を滴る血を服で拭う事もせず立ち上がり、ゆっくりと天幕に帰る事にした。
†
「それで桃香様が変わってたんですか」
夜に天幕を訪ね、秋斗さんは寝台に、私は横の椅子に座っている。
まだ倒れてから日が経っていないのに昼間から自分が問題ない事を軍に見せる為に無茶をしていた。今は少しでも楽にしていて欲しくて無理を言って寝台に寝て貰った。
秋斗さんから説明された事は納得のできるモノだった。
夕方に桃香様から話があると言われて私と朱里ちゃん、愛紗さんと鈴々ちゃんが天幕に呼ばれた。
そこで話されたのは自分達の理想の最終目的。「私は理想の世界の礎になろうと思う」と言った時の桃香様にはすごく 惹きつけられたと同時に安堵した。
朱里ちゃんも愛紗さんも桃香様から話を聞いて大きく変わった。皆も薄々はどこか違和感を覚えていたようで桃香様の答えはすっと胸に落ちたようだった。
「ここで気付けてよかったのか悪かったのか。まあやっと王としての基礎が固まった。愛紗や朱里も納得したようだし上々だな」
力を持って対等の立場になってから相手と対話をする。それ
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