Introduction
第五話 クラス代表決定戦
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よ」
でも、これも予測通り。彼女の狙いは、懐にあえて潜り込ませてその直前に牙で捕えること。本来、その牙は別々に動かすことができ、普通に懐に入り込むならやや面倒だけど来るタイミングが分かっているば話は別。だから敢えて誘いの乗った。
牙の範囲に入る前に別方向へとイグニッション・ブーストをかけた。
◇
「な!」
管制室で観戦を許可され、教師陣と共にモニターを見ていた一組の生徒が声をあげる。ちなみに一戦目は少人数だったが、千冬の解説が好評で今ではクラスの半数以上が集まってしまっている。
一方、モニターの先では加速により方向を変えた紫苑が牙を避け、その外側を滑るようにスライドする。そのまま体を回転させ、フォルテの後頭部へ一発の裏拳を炸裂させる。加速と遠心力のついたその一撃にフォルテは顔を顰めつつもすぐさま反撃に移る。自身も体を紫苑に向きなおしながらいつの間にか持ち替えていた短剣型の武装、『グランフィア』の二刀流で斬りつける。
しかし、紫苑はそれすらも手元を払うことで受け流し、再び体に打撃を加えていく。ほぼ密着状態の今の状況では、フォルテのブラッディ・ファングは使いにくい。下手をすれば自身にも攻撃が及ぶからだ。そしてその牙の射程範囲はネームレスの有効距離であり、故に紫苑は敢えて封印して密着での肉弾戦を選んだ。
『く……なら、これならどうッスか!』
ゼロ距離での戦いに活路を見い出せず、シールドエネルギーを徐々に削り取られ既に危険域に達したフォルテは一か八かの賭けに出る。片手のみ武装をルーチェに戻しながら残っているもう一方のグランフィアを振り切り僅かの距離を得る。
そのままルーチェによる射撃をバラまいて、さらに距離を取ろうと構えた時。
さきほどまでの拳打の射程外に移動したにも関わらず、フォルテは突如として弾き飛ばされ、同時にシールドエネルギーが尽きたことを知らせるブザーが鳴り響く。
「え!」
紫苑がフォルテに肉薄して以降、沈黙に包まれていた室内に再び驚きの声があがる。
真耶を含め、何が起こったかわからずにただ千冬に解説を請う視線が集まる。当の千冬はその視線に気づきやれやれといった様子だ……しかし試合前の彼女の雄弁さを鑑みるに満更でもないのだろう。
「まずは試合を決めた一撃だが、西園寺の手元を見ろ」
その言葉に、モニターに目を戻した一同は再び驚愕する。紫苑の手には3メートルを超えようかという巨大な刀だった。
「あれは……いつの間に!?」
「いま西園寺が手にしているのが月読にインストールされている唯一の武装だ。とはいえ、データが欠損しているらしく正式名称は不明。あいつはネームレスなどと皮肉な呼び名をつけているがな。……そして
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