暁 〜小説投稿サイト〜
幽霊少女は生き返らない
幽霊少女、萍水相逢。
[1/2]

[8]前話 前書き [1] 最後
私は幽霊です。以前は生きていましたが、死んで幽霊になりました。

ところで、私には生前の記憶がありません。
なぜ死んだのか、どうやって死んだのか、家族はいるのか、名前はなんだったのか…。
それらすべての記憶が抜け落ちているのです。

私は私の幽霊化は認めましたが、理由も分からないのでは納得できませんでした。
なので、私はもろもろの理由を探すついでに、どうにかして生き返ろうと画策し始めました。

まず、私は私自身のことについてあまりにも無知だったので、ちょこっとお寺を覗いてみる
ことにしました。
そこには霊が見えるというお坊さんがいらっしゃいました。
その方が私に話しかけてきたときは、私が幽霊になってしまったと気付いた時と同じくらい
驚きました。今まで、ヒトに認識されたことは一度もなかったので。

そこで、私は私が正式に「幽霊」という種族になったことが分かりました。
ですが、なぜそうなったのか、元はどういう人間だったのか、というのは、強いロックが
掛けられていて分からなかったそうです。
つまり、私は生前のことを忘れたかったのではないか、と言われましたが、覚えていないので
そう言われても実感はありませんでした。

物はついでです、と、生き返る方法があるかも尋ねてみましたが、そちらもあまり(かんば)しくは
ありませんでした。
幽霊が生き返るなんてどの物語でも禁忌ですし、そもそも私の遺体が焼却されてしまっていたら、
生き返っても魂だけの状態になります。
魂だけで長くを過ごすことはできないそうなので、時間が経つと消えてしまうとか。

私はいきなり行き詰ってしまい、途方に暮れました。
そんな私を気遣ってか、お坊さんは私にお寺に滞在する許可をくれました。

そうして、一週間が経ったときの事でした。
私は、彼に出会いました。

私は境内を歩いて…失礼、浮遊していました。ふわふわと。
すると、視線のようなものを感じました。

幽霊である私を認識できる存在はそう多くはないので、気になりました。
私、幽霊を認識できるのはお坊さんのように霊感のあるヒトか、私と同じ幽霊、または…

『あの…貴女は幽霊さん、です?』

彼のような、人ではなく、幽霊でもまたないモノ、妖かしたちだけですから。

彼は、「はらだし」と名乗りました。
「はらだし」とは、古いお寺に住むとされる日本の妖かしで、害はなく、むしろ陽気な性格で
踊りを踊る、見ることが出来れば幸せになれるとすら言われている良い妖かしです。
の、はずなんですが…。

『あの、ボク、はらだしなのに、性格が暗くて…ほかのみんなは明るいのに、ボクだけ…』

この「はらだし」さんは暗い、いえ、少々ネガティブな性格のようでした。

『踊りだって
[8]前話 前書き [1] 最後


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ