人中と例外
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動いてくれ。
無茶が過ぎたのか頭がふらつき、何を願おうとも、どれだけもがこうとも立つことが出来ない。
目の前まで着いた呂布はその画戟を天高く上げ、
「……ごめん。先、行ってて」
哀しげにそう呟いた。
瞳の中、憎しみと哀しみの間に揺れる炎に吸い込まれそうだ。
俺はこのまま死ぬのか。
何も変えられず。
乱世のハザマでこのまま。
あっけない。
俺は何もできないのか。
突如、思考と視界に不快なノイズが走る
嫌だ。
まだ死ねない。
まだ変えてない。
ノイズが大きくなり周りの音が消え、世界がスローモーションになっていく
理不尽にこの世界に飛ばされて、使いっぱしりのままで死んでたまるか。
俺は俺の意思でこの大陸に平穏を作りたい。
もはや思考のノイズしか感じなくなり
俺に――――
――――この世界を変えさせろ。
呂布の画戟が俺の身体に振り下ろされ、全ては白に包まれた。
†
「なんで条件満たしてないのに勝手に発動したんですか! 外史への存在定着率が低い今の状態で使ったら別事象でも使えなくなるのに! ちくしょう、この事象はなんなんですか! イレギュラー過ぎますよ!」
カタカタとキーボードらしきものを操作しながら、こちらには気付いていない幼女が一人。
「ああもう! 改変前なんですから大人しく死んでも次の事象を問題なくスタートできたんですよ!? ……よし、抑え込めました!」
一際大きく音を鳴らし、ゆっくり息を吐きながら振り返って……仰天していた。
ありったけの文句を言おうと思ったが徐々にこちらの意識が遠くなる。
「ちっ……まあせいぜい頑張ってください」
最後に見たのは三日月型に笑う口。
そのまま、俺の意識は回って落ちた。
†
殺したと思った。
目の前の男の心の臓に刃を降ろし、その命を絶ったはずだった。
だが、身体にあたる寸前で自分の武器が弾かれた。
その時襲ってきたのは全身を這い回る悪寒。瞬時に飛びのきその男から距離を取った。
本能に従いあいつに向けていた殺気を収める。
あれはゆらりと立ち上がりただこちらを見ていた。
その瞳に映るモノは虚無。そこには何もない。
あらゆる感情も、人の意思さえも。
続けて寒気に身体が凍りついた。
想像されるのは殺し、殺される自分達二人の姿。
自分ならば殺せる、いや自分しか殺せない。だけど多分自分も死ぬ。
そこには想いも無くただ結果だけが残る。
あれとは戦いたくない。自分もあれと同じになってしまうから。
怖い 恐い こわい コワイ
これは人じゃない。
ただ敵対するものを殺すだけの人形だ。昔の自分と同
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