人中と例外
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ている。
周りとのいつも以上に連携もとれている。
しかし三人がかりでも敵わないどころかキズ一つつけられていない。代わりにこちらは傷だらけ。
その武は間違いなく他の追随を許さぬ天下無双。
「ぐっ!」
躱しきれなかった戟の剣先が自身の腿を掠めた。
「おりゃりゃりゃりゃー!」
私への追撃に動いた呂布に向かって放たれた鈴々の怒涛の連撃も、
「……単純すぎ」
難なく躱され、最後の一撃に合わせるように返しの刃が襲いゆく。
「ぐあっ!」
秋斗殿が間に割って入り剣で受けるが二人とも纏めて吹き飛ばされてしまった。
一瞬止まったかと思うと高速でこちらに近づき連撃を放たれる。
一撃、二撃、三撃……までは合わせられたがあまりの力にこのままではこちらの攻撃が間に合わなくなる。
不意に連撃が止んだと思えば後ろから斬りかかった二人の武器を同時に弾いていた。
その予備動作で行われた横なぎの一振りが私を襲う。
「っ!」
武器で受けたが脚の踏ん張りが利かずそのまま吹き飛ばされ、受け身がとれず背中と頭を打ちつける。
武器を杖にして立ち上がるがもはや満身創痍。先ほどの一撃のせいか、頭がふらつく。
「鈴々!」
秋斗殿の声に反応し、顔を上げてぼやけた視界で見た先にはこちらに吹き飛ばされた鈴々の背中。
なんとか受け止めたがこちらも後ろに倒れてしまった。鈴々は頭を打ったのか気絶している。
「鈴……々! 目を……覚ませ、鈴々!」
その時どこかで銅鑼の鳴る音が聞こえた。
音を聞いて呂布の動きが止まり、その一瞬に賭けたのか秋斗殿が突きを放った。
だが彼の動きはいつもの精細さがあまり無く、剣は軽々と躱され、遅れて大きな音が聞こえ吹き飛ばされたのが見えた。
彼が三人で一番傷を受けていた。
器用で合わせるのがうまい彼は率先して私たちの守りを受け持ち、その大きな体は躱しきれずいた刃を多く受けていた。
倒れた彼は起き上がろうとするが起き上がれないようで、ぐぐっと上体を起こそうともがくがそれ以上は変わらなかった。
呂布は秋斗殿に近づいていく。
咄嗟に鈴々を横たわせ立とうとしたが急な眩暈に前のめりに倒れてしまった。
立とうともがくが身体はいう事をきかず、顔だけ上げて見ると呂布は武器を高く振り上げ何やら呟いている。
自分の口から掠れた、声にならない叫びが漏れる。奴はこちらを見ようともしなかった。
そして幾分か間をおいて上げられた方天画戟は月を裂き、倒れている彼に振り下ろされた。
吹き飛ばされ、武器は放さなかったが受け身が取れなかったので身体への被害は甚大だった。
身体がいう事を効かない。
顔だけ上げて見ると呂布がこちらに近づいてきていた。
起きろ。
攻撃が来る。
動け。
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