人中と例外
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れるねねだが表情はどこか優れない。
「……気にすんな、ねね。洛陽で月のこと助けてからちゃちゃーっと戻ってくるから頑張って待っといてな」
軽く口にするが安心させるための嘘だ。気休めくらいになればいいと思ってのこと。
奇襲がばれていた時点で自分が戻る頃には洛陽に撤退しはじめているだろう。
「……洛陽は任せたのです。月を、詠を、恋殿の帰る家を」
「任せときぃ! こっちは二人に任せたで! それと次会ったらアレ喰らった時の敵の反応も教えてな!」
「ふふふ、霞には後で結果だけ教えてあげるのです。さあ、こんな所で道草を食っている場合ではないのですよ!」
にやりと笑いながら言うねねにがっくりと項垂れてみせて不足を示す。結果だけとはつれないことだ。
「殺生やなぁ……まああんまり無茶すなや! ほなな!」
そこまで言いきってねねの側を離れた。
後ろからの「ねねの本気を見るのです!」と言う大きな声を確認して。
「お前達は呂布隊最精鋭、最強の勇者の軍! 何があろうと負ける事は許されないのです! 呂布殿の為に戦い! 呂布殿の為に死ね!」
自分の語りに反応して兵から上がる怒号は全てをなぎ倒すよう。
勝負はここ。今からが本当の正念場である。
曹操の軍は連合でも最強。ならば死兵となって崩しておかなければ連合自体は崩れない。関に引いても守りきるのに足りない。いや、このままでは虎牢関を放棄するしかなくなる。
温存していたこの隊は、自分の手足のごとく命令に従い死んでくれる、飛将軍に付き従う自分と同じ思考の部隊。
孫策軍側は捨て置く。あちらはまだ時間があるのだから曹操軍に意識を集中すべきだ。
「先行していた陳宮隊は下がるのです! 太鼓を!」
陳宮隊は音を聞くと素早く下がる。急な後退に一瞬の間が出来た。
「一、二、三、四小隊、突撃! 五、六、七、八小隊は後ろから矢を放て! 味方の突撃が当たるギリギリにです! その後、左右に展開し、後退している部隊を縫って押し込むのです!」
戦場全てをざっと見回し最適の状況を無理やり作り出せるように指示を出す。
恋殿率いる呂布隊は袁術軍と袁紹軍の中央に位置していた。曹操軍の後背を突くのは無理。なら乱戦の最中を突き抜けて孫策軍と袁術軍に被害を増やしてくれるはず。
「さあ、お高く留まった曹操に目にモノ見せてやるのですよ! お前達はいつも通りにこの陳宮の言うままに動くのです!」
中央は恋殿が少しでも楽に戦えるように道を作っておこう。
「陳宮隊副隊長に伝令。虎牢関前と城壁にアレの準備を急がせるように通達するのです!」
「はっ!」
今回の夜襲での最後はこの最終手段で必ず決める。この状況なら使えるはずだ。
†
自惚れは無かった。
慢心も無かった。
己が全てを出しきっ
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