Introduction
第四話 欠陥機
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そればっかりではない。もともとこの学園はお祭り騒ぎが好きなのかもしれない。……認めたくないけど僕や楯無さんは特に目立ってるようだし。
それはこのアリーナの異様さから窺える。
単なる一年生同士の模擬戦なのに、観覧席は満員だった。しかも試合の模様は学園中に備え付けられたモニターに流されるらしい。本来はクラスメート以外は観戦禁止にする予定だったのだけど、あまりにも観戦希望者が多かったことから学園側より提案があり、渋々公開を了承した。……楯無さんはもともとそのつもりだったようだけど。
「うわ〜超満員、みんなも暇ッスね〜」
そんなアリーナの熱気もどこ吹く風。フォルテさんはのんびりと言い放った。
かくいう僕もどこか他人事で、別に緊張などはしていなかった。この模擬戦は結局僕らのものであり、周りがどれだけ盛り上がろうと関係ない。月読のデータを採られたとしても他の人間にどうこうできるものではない、というのもあるし。
「ま、みんなこういうイベントに飢えていたのよ。こういう娯楽を提供するのも未来の生徒会長の務めよね」
楯無さんも僕らと違う理由だろうが落ち着いている。いつの間にか『満員御礼』と書かれた扇子を広げている。彼女の扇子については未だに謎だ。
「よし、更識、西園寺、サファイア、準備はいいか。まずは組み合わせと戦う順番を決める」
千冬さんに呼ばれて3人は順に順番決めのための番号札を引き
1. 更識楯無 VS フォルテ・サファイア
2. フォルテ・サファイア VS 西園寺紫音
3. 西園寺紫音 VS 更識楯無
以上のように決定した。
ちなみに公平を期すため対戦者でない一人は模擬戦は観戦できないので、一戦目は控室で二人の勝負が終わるのを待つことになる。
椅子に座って目をつぶると一瞬、体が震えたことを自覚する。
緊張……しているわけではない。これが武者震いというものなのだろう、と自分に納得させる。
ISを動かせるということを知ってから入学までの2ヶ月強の間、濃密な訓練を行ってきた。総稼働時間がそのまま実力に比例する言われるくらい、実際に動かすことは重要だ。代表候補生や、ましてや楯無さんのような代表レベルだとその稼働時間は僕の比ではない。
そして致命的なのは模擬戦を含め、IS同士の実戦経験が僕にはほとんどない。唯一あるといえば試験で山田先生相手のときだろうか。しかし彼女も元代表候補生だったとはいえ、試験用に制限された機体だったためあまり参考にはならない。
そもそも一企業のテストパイロットの立場では機体もパイロットもそうそう用意できない。IS学園入学が決まったあとこの問題に頭を悩ませていたら、束さんがISとリンクさせて使用するシミュレーション用の端末とソフトを作っ
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