1部分:第一章
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バーを代表して俺がこう言った。リーダーだからだ。
「これが今の日本の音楽なのか」
「日本の音楽じゃありませんよ」
俺はここでこう言ってやった。
「俺達の音楽なんですよ。これが」
「ほう」
そのおっさんは俺の言葉を聞いて目をピクリと動かした。
「君達の音楽か」
「そうですよ。他の誰のものでもありませんよ」
「そうか、いいものだな」
「俺達の音楽がですか?」
俺達はその言葉に尋ねた。昼だというのに外は凍える様に寒い。だが心だけは熱かった。そしてもっと熱くなってきていた。興奮しだしていた。
「いや、両方がだよ」
日本語でこう返してきた。
「両方」
「君達の音楽と心だ。両方共気に入った」
「はあ」
「どうだい、私と一緒に来ないかね?」
「貴方とですか!?」
「イエス」
ここでは英語になっていた。
「どうだい、一緒に来ないかね」
「飯でもおごってくれるのかな」
「だったらいいんじゃねえか?丁度腹も空いてきたところだしな」
「ははは、食事だけじゃないさ」
おっさんは俺達の言葉を聞いて顔を崩してきた。
「その他のことも。色々と話がしたいんだ」
「何だろうな」
「とりあえず行ってみるか?まさかこんなむさ苦しい男を売り飛ばすなんて奴はいないだろうしよ」
「そうだな。それじゃあ」
俺は仲間達と相談した後でおっさんにまた顔を向けた。
「七人もいますけど。いいですか?」
俺達のバンドは特別だった。ヴォーカルが三人にギターの俺とベース、ドラム、そしてサックスの七人だ。ヴォーカルがキーボードとかをやったりする。楽器も多いが人間も多い。そんなバンドだった。
「ああ、いいとも」
おっさんは顔を崩して応えた。
「それじゃあバーガーショップにでも行こう。そこでゆっくりと話をしたい」
「はい」
俺達は付いて行った。これがアメリカでの全ての、音楽での俺達のはじまりだった。
そのおっさんは何とプロデューサーだった。俺達の音楽を聴いて興味を持ったと話してくれた。
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