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少女1人>リリカルマジカル
第四十五話 少年期【28】
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よりも彼女の持つ情の深さが、クロゼルグをほうっておくことができなかった。何かを抑えている彼女を、甘やかしたくて仕方がない。同じ年ぐらいのはずなのだが、母性がムクムクと湧いてくる。……どこか小動物的なクロゼルグに、ツボったとも言うのだが。

「まったく、君の娘になったら苦労しそうだな。絶対にむちゃくちゃ甘やかすだろ」
「あら、娘をかわいがるのは当たり前でしょ。それに息子だって、ものすっごくかわいがるわよ」
「反抗期に突入しても知らんぞ」
「反…ッ! し、しないもん。例え反抗期に突入したって、私のクロゼルグへの愛でたい気持ちは揺らがないわ!」
「そのクロゼルグ、完全にお前の娘になっているぞ」

 まだ見ぬ魔女っ娘に、これから大変だなぁ、とレティは静かに合掌したのであった。


 今度その魔女っ娘を紹介するという約束をし、各自弁当タイムを再開する。中等部は給食システムが無くなり、学校の敷地内なら自由に昼食をとることができるようになっていた。

「あら、クライド。飲み物をもう全部飲んじゃったの?」
「あ、あぁ。喉が渇いていてね」
「それじゃあ、私の飲み物を分けてあげるわ」

 頭の熱を下げるための冷却材として使われたため、クライドの水筒は空っぽになっていた。それに気づいたリンディが、完全な善意で自分の水筒を勧めた。レティがそっと覗きこんだリンディの水筒の中には、何故か角砂糖がプカプカ浮かんでいる。顔が引きつった。

「あぁ、ありがとう」
「……!!」
「はい、それじゃあコップの方に移しておくわね」

 レティは信じられないものを見たかのように、クライドを凝視する。普通にゴクゴクとお茶を飲み干す彼に、彼女は若干引いた。お茶を飲んでいるはずなのに、ザリザリ角砂糖をかみ砕く音が教室に響き渡った。

 レティは頬が引きつりながらも、リンディに聞こえないぐらいの声音で、クライドに耳打ちした。

「ねぇ、クライド。あなたよくリンディの入れた飲み物が飲めるわね」
「飲めるだろ?」
「飲めないわよ」

 思わずバッサリ切ってしまった。3人中2人が平然としていたら、自分がおかしいのかと迷ってしまうものだ。だが、これだけは自分の感性が正しいはずだ、とレティは己を奮い立たせる。

「あれは飲み物ではないわ。いいえ、むしろ飲み物という分類に入れてはいけないのよ」
「そういえば、最初に飲んだ時は僕もむせかけたな。今は慣れてしまったけど」
「そこはむせてよ。人間なんだから、むせていいのよ。むしろなんでむせないで、最初から飲み込んでしまうのよ。飲み物とは、多くの人間が飲める液体であるべきなのよ。極一部の味覚破壊者とおかしな高性能者以外が飲んだら、意識が落ちるものは違うんだから」

 リンディと出会って、まだそれほど経ってい
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