飛将軍来る
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滅しかなくても。
†
「なぁ、雛里。今日の曹操の攻め、どこか変じゃなかったか?」
共に装備の残数確認を行っている雛里に自分の感じた違和感を伝える。
「……秋斗さんもそう感じましたか」
「ああ、いつも通りなんだがどこか気概が違うというか……」
やはり、といった感じでこちらを見上げて話す雛里の瞳には知性の光が灯っていた。
そう、ここのところ毎日同じ攻めだったはずが夕方まで少しだけ士気が高かったように思う。
「もしかしたら何か今の現状を打開できるような情報が入ったのかもしれません。しかし今それを確かめる術が私たちにはないので……」
俺たちの情報網の薄さは連合一だろう。
「今から曹操の陣まで聞きに行くってのはどうだ?」
「さすがに連日の攻城戦で疲弊しているでしょうし……それに曹操さんの性格上、何も対価を出さずに教えてくれるとは思いません」
問いかけるが、雛里が返した答えの方が正しかったので自身の提案の浅はかさを自覚した。
曹操がタダで情報を教えるような人なら桃香と気が合いそうだ。
「……うーん。しかしこの違和感が拭えないと寝れそうにないな」
「ちゃんと寝ないとだめですよ?唯でさえ長期の遠征でお疲れなのに」
「心配ありがとう雛里。そういえばお前も最近は軍議続きであまり寝れてないんだろ? 大丈夫か?」
長い戦は疲れが溜まりやすい。寝ないと脳の働きも鈍るし心配だ。
「ふふ、秋斗さんも心配ありがとうございます。ある程度はちゃんと寝れてますから大丈夫ですよ」
口に手を当てて上品に微笑んだ雛里に思わず見惚れてしまう。
可愛いなぁ。ホントいい子だ。
「ならよかった。早く戦を終わらせて甘いものでも食べたいな」
そう言って頭を軽く撫でてみる。
「あわわ……秋斗さんはどうしていつも頭を撫でるんでしゅか!」
「そりゃ可愛い子の頭は撫でたいからな」
あわあわと慌てながらいつもの如く噛んでしまったのと、俺の返答に照れたのか帽子を下げて俯いてしまった。 こういうやりとりをしていると戦中なことも忘れられて心が楽になる。
そのまましばらく二人で無言でいると外が騒がしくなってきた。
「何だ?」
陣内のおかしな雰囲気に疑問を感じ、二人で幕の外に飛び出しあたりを確認すると、
「お兄ちゃん! 雛里! 董卓軍が夜襲を仕掛けてきたのだ!」
こちらに急いで向かってきた鈴々が大声で告げる。
「なんだと!?」
「今は孫策軍と曹操軍が対応してる! 急いで戦う準備をするのだ! 愛紗は先に兵のまとめに動いてるから!」
「わかった! 雛里、行こう」
雛里がコクリと頷いたのを確認してからそれぞれの持ち場に向かう。
違和感はこれか。曹操はこの夜襲を読んでいたんだな。士気が高かったのは攻城戦を強く行い今日は兵の疲弊が大
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