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乱世の確率事象改変
飛将軍来る
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「霞、恋殿、準備は万端ですか?」
 問題がない事は確認済みだが一応二人ともに聞いてみる。
「ばっちしやで。昼の内に関のねずみも殺しきっといたし、隊の撤退準備も問題あらへん」
「後は、行くだけ」
「了解なのです! では予定通りに月が中天に昇った時に出撃するのです。それと霞、気に病み過ぎず戦うのですぞ」
 霞は華雄の事でもの凄く落ち込んでいた。虎牢関に着いた時、自責の念からか滅多に見せない涙を流し自分達にひたすら謝ってきた。
 自分達は霞を責められない。
 シ水関にいられなかった自分達にも責はあるのだから。
「……ありがとな、ねね。うちは月を守る。いや、うちらで月を守るで」
 そう言ってこちらににっと笑いかける霞の表情は晴れやかで、今はもう心が落ち着いたのだと分かった。
「皆で、守る」
「霞、恋殿……そうなのです、ねね達で……優しい月と、ひねくれ者の詠を守ってやるのです!」
 連合の思い通りになどさせてたまるか。欲に塗れた権力者達など皆、跳ね除けてやる。
「では作戦をもう一度確認するのです。恋殿の隊は孫策軍陣地に突撃、部隊はそのまま押し込ませますが恋殿と親衛隊の少数のみそのまま抜けさせ袁術軍を強襲。恋殿の突破力なら問題ないと思われます」
「……大丈夫。恋が道作る」
「お願いするのです。ただ恋殿、孫策軍突破の途中で将と遭遇しても戦わず敵兵のみに被害を増やしてくだされ。恋殿が負けるわけありませんが、今回は敵の数を減らす事に重きを置いて欲しいのです。特に袁家の軍は盛大に大破させてやるのですぞ。それと袁術軍に続き袁紹軍陣地もかき回した後、銅鑼の合図で曹操軍の後背を突きこちらに戻って来てくだされ」
「わかった」
 コクリと、小さく返事をしてから一つ頷く恋殿の姿はいつも通りで自身の心が尚、奮い立った。
 守るものがある飛将軍の武は誰も折れない。敵が万いようとも。だからこその少数での攪乱作戦。それに呂布親衛隊の上位も一介の兵士十人以上に匹敵する力を持っている。
「霞の部隊は曹操軍陣地に強襲をかけ、できる限り兵で攪乱するのです。抜くことは考えず、その場に縛り付けるだけで。ある程度戦ったらねねが合図を送るのでそのまま陳宮隊と入れ替わり、洛陽まで最速で下がるのです」
「了解や。けどねね、ほんまに大丈夫なんか?ねね一人で両軍の後軍の指揮するんはめっちゃ大変やで?」
「ふふふ、それくらいできないと恋殿の隣に並び立つ軍師として失格なのですよ。ねねが二人も守るのです」
 そう言うと恋殿が頭を撫でてくれた。霞はうんうんと頷いていつもの優しい笑顔で自分達を見ている。
「ねね、任せた。頼りにしてる」
「うちも任せた。ねねの想い、受け取ったで」
 暖かい気持ちが溢れてくる。愛する人と信頼する友に頼りにされる。これほど嬉しい事は無い。
「はいな
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