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銀河英雄伝説〜ラインハルトに負けません
第百六十五話 美味しい罠
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練宙域はアムリッツァ星系だけどね”とテレーゼは心の中で呟いていた。

「確かに、三人の艦隊は12月では未だ未だ編成途中ですが、殿下の仰った護衛の各指揮官ならば信頼の置ける人物ばかりです」
「でしょ」
「致し方ありませんの」
リヒテンラーデ侯も護衛の名前を聞いて渋々ながら賛成する事にした。


一応テレーゼのイゼルローン要塞訪問の話が終わった所で、軽食を食べ、午後になり捕虜送還についてテレーゼが話し始めた。

「今回の捕虜交換で同盟には精々高く捕虜を売りつけるつもりよ。拉致農奴一人一人に関してはその働いた年月を計算して賃金を与えるわ。それに矯正区や捕虜収容所で働いていた捕虜にも若干の金銭を渡すわ」

同盟に捕虜を高く売りつけると言いながら、金を渡すという矛盾に皆が判らないと言う顔をする中、リヒテンラーデ侯が渋面を現す。
「拉致農奴に賃金を与えるとは、前代未聞ですぞ」

「国務尚書の言う事も判るわ。言っている事が矛盾している言いたいんでしょうけど、今回の事は後々の布石にする為なのよ。つまり拉致農奴一人につき皇帝陛下からの慰労金として、働いた年数×2万帝国マルク(300万円)を、同盟のディナールで与えるわ。尤も最近の同盟は紙幣乱造でインフレ気味らしいから、3万ディナールぐらいに成るらしけど」

「殿下、もしや製造した偽ディナールを使うわけでしょうか?」
ケスラーが心配そうに尋ねる。

「いいえ、今回200万の拉致農奴が居るわ。それに与えるとして一人平均20年として60万ディナール(6000万円)で200万人だと1兆2000万ディナールになるわ。(120兆円)それに捕虜100万に一人頭6万ディナール(600万円)で600億ディナール(6兆円)、昨年の同盟の国家予算が100兆ディナール(1京円)で同盟の紙幣発行高が180兆ディナール程(1京8000兆円)らしいから、紙幣発行高の0.7%の紙幣がいきなり新券で帝国から来たら、間違い無く偽札だと疑われるわ。既に偽札はフェザーンのダミー会社を通じて株式投資や同盟国債購入などをして資金洗浄を行って、正規のディナールを多数仕入れていますから、それを渡します」

「何と愉快なことよの」
皆が無言で驚く中、フリードリヒ四世のみが笑っていた。

「尤も此が300万だから、未だ未だ同盟もそれほど混乱しないで良いのよね。けど何れ理想主義に凝り固まった流刑共和主義者なんかを2億ほど追放刑として亡命させて上げるわ、しかも皇帝陛下の御慈悲で資産を持たせて上げてね。さて彼等が持って行くディナールは幾らになるかしらね。そのうち、同盟ではコーヒー一杯飲むのにトランクいっぱいのお札が必要になり、“こんな物、今じゃトイレットペーパーにも使えない”とか言われるかもね」

ウインクしながら、にこやかに喋る
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