覇王の描く盤上に
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の時、
「秋斗殿。兵と兵糧の確認は終わりましたか?そろそろ軍議を始めたいのですが」
愛紗がもの凄くいいタイミングでやってきた。渡りに船とはまさにこの事。
「今終わった所だよ。副長に兵糧の数を伝えてからすぐに向かう。先に天幕で待っていてくれ」
わかりましたと言って愛紗は去って行った。まあ副長にはもう伝えてあるが。
朱里から凍えるような冷気が出ている。軍議がなきゃお説教確定だっただろう。
「……さすがにお説教で軍議遅らせちゃダメだよな」
「後で説明してくださいね」
そこまで聞きたいのか。だがさすがに言えない。桃香の件もあるから朱里には特に。
「……ごめん。今回のはシ水関の天幕の時と同じで今はどうしても無理なんだ」
いつもとは違い真剣に頼んでみると、
「……わかりました」
朱里は驚くほど素直に、だがどこかショックを受けた顔をして振り返り歩き出した。特殊なケースだし説明しづらいのもある。真名を軽く見てるようにも思えるし、ごめんな。
シ水関から私は変だ。
今回の事はどうしても聞きたかった。この人との心の距離に気付いてしまったから。
不安なんだ。
この人がどこかに行ってしまいそうで。
怖いんだ。
私達と全く違う思考をしているこの人が。
理解出来ないモノは恐ろしい。それが味方であっても。いや、味方だからこそ。
だから少しでも知りたかった。
私は雛里ちゃんとは違う意味でこの人に惹かれている。
それは怖いもの見たさの感覚。
この人の思考が理解できそうな田豊さんが羨ましい。
知ってしまったら私はどうなるんだろう。
雛里ちゃんみたいに恋に落ちるのか。
わからないから知りたい。
今は無理でも少しずつ教えて欲しいなぁ。
雛里ちゃんはこの人の事をどこまで理解してるんだろうか。
†
虎牢関の攻めを担ってしばらく立つ。
弱小諸侯達とは違うのが分かっているのか敵に出てくる気配が全く無い。
いくら精強な曹操軍との共同とはいえ城攻めはそれなりに時間が掛かるし消耗も多い。
さらにあの張遼の連続奇襲によって連合軍全体、そして私達孫策軍の兵糧にも一抹の不安が見えてきた。あの女狐が兵糧を貸し渋っているのも問題だが。
しかし本当に曹操には驚かされる。
こちらの情報網の確実さを見抜いて兵糧と情報の交換を持ち出して来るとは。
それに城を攻めさせているのにも理由があるようだ。
大陸随一の虎牢関に対しての城攻めはそのまま軍の経験になる。自分自身の経験を上げるために兵を犠牲にして いるのか。張遼が出てくるのが最善、出てこなくても良しという事。
本当にどこまでも乱世を見ている。私たちはこの乱世を喰らう化け物といつか戦わなければいけないのだな。
「冥琳様!」
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