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ドリトル先生の来日
第三幕 日本に来てその八
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「待っていて下さいね」
「待っているよ、それじゃあね」
「はい、日本で」
「また会おうね」
 先生と動物達はトミーと笑顔で別れました、それは再会までのほんの一時のことであるとお互いに思いながら。
 船は出港し先生達はまずは客室に入りました、そこはとても広い客室で馬もオシツオサレツも入ることが出来ます。
 オシツオサレツはその船の中で二つの頭で先生に言います。
「先生、僕はここにいた方がいいかな」
「この部屋にいた方がいいかな」
 こう二つの頭で尋ねるのでした。
「僕は目立つからね」
「ここにいるべきなのかな」
「いや、君もおトイレの都合があるからね」
 先生はオシツオサレツに答えます。
「客室から出ていいよ」
「そうなんだ」
「僕も出ていいんだ」
「君は確かに珍しい生きものだけれど皆知っているからね」
 オシツオサレツという動物がいることはです。
「だからそんなに気にすることはないよ」
「けれど皆僕を見るよね」
「この船って動物も普通に歩けるけれど」
「おトイレは決まった場所でしないといけないけれど」
「それでもね」
 そうしたことが出来ない動物は自由に船の中で歩けないみたいです、ですが先生と一緒にいる皆はそれが出来るので問題ありません。
「僕は目立つよね」
「どうしてもそうなるよね」
「まあパンダみたいなものだね」
 先生は例えとしてこの動物をお話に出しました。
「そうだね」
「ううん、僕はパンダなんだ」
「そうした感じなんだ」
「そうだよ、まあ皆見るだろうけれど」
 それでもだというのです。
「特に怖がることはないから」
「そうなんだ、それじゃあ」
「僕もお外に出るね」
「そうしていいよ。まあ長い旅になるけれど」
 船だからです、先生もそれはわかっていて船に乗っています。
「楽しんでいこうね」
「うん、じゃあね」
「楽しくね」
 オシツオサレツは先生に言ってもらって明るさを取り戻しました、そうして。
 皆は普通に船の中を出入りしつつ船旅を楽しみます、船はとにかく大きいです。しかも。
 よく見れば船の中にいるお客さんはあまりいません、先生達の他は何組かいる位です。先生はこのことに気付いて朝食の時に食堂でウェイターさんに尋ねました。
「この船は客船じゃないのかな」
「客船でもあります」
「というと?」
「本来は貨物船なんです」
「あっ、そうなんだ」
「はい、客室と貨物倉庫は別ですが」
 それでもだというのです。
「この船は本来貨物船でして」
「そうだったんだね」
「二十万トンの大船です」
「大きいと思ったらそれだけあるんだね」
「タンカーよりはまだ小さいですが」
 それでも大きいことは大きいというのです。
「この船は」
「そうだったんだ」

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