第5話:ハイジャック事件−5
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隊舎へ帰ったゲオルグは、チンクと別れて自分の部屋へと戻った。
上着を脱ぎ自分の席に座ると、ゲオルグはクロノから受けとった
新しい隊員の候補者リストに目を通しはじめる。
丹念に中身を読み込みながら、1枚ずつめくっていく。
候補者はいずれもBからCランクの魔導師で、地上部隊に所属している。
「よくもまあ優秀な魔導師をこんなに探し出せるもんだ」
ゲオルグは書類の束を机の上に置くと、椅子の背にもたれかかって呟くように言う。
《前もそんなことを言ってませんでしたか?》
ゲオルグの呟きに対してレーベンが茶々を入れると、
ゲオルグは微笑を浮かべる。
「そうかもな。 まあ、出来る上司を何度褒めても損をすることはないだろうさ」
《確かに・・・》
ゲオルグは再びリストを手に取るとパラパラとめくる。
「新しく採用するのは10人・・・か。 どうやって絞ったもんかな」
《セレクションをやるのですよね?》
「俺が悩んでるのはその内容をどうするかだよ」
《つまり、どんな模擬戦にすればいいかで悩んでいるのですか?》
「そういうこと。 まあ、普通に考えればウチの分隊との集団戦か
隊長クラスとの個人戦かどちらかなんだけどな・・・」
《・・・何か他に案が?》
レーベンが問いかけると、ゲオルグは自分の胸元にちらりと目をやってから
机の上で頬づえをつく。
「いくつかシチュエーションを決めて、模擬戦闘訓練をやってもいいかなとは
思ってるんだよ」
《ですが、即席のチームでそれをやるのですか?
少し無理があるような気もするのですけど》
レーベンからの反論に、ゲオルグはわずかに眉をひそめる。
「まあな。 でも、だからこそ想定外の事態に対してどう対処できるかを
見ることができると思うんだよ」
《なるほど》
レーベンが感心したような声をあげたとき、部隊長室の中にブザーの音が鳴る。
ゲオルグがモニターを確認してからドアを開けると、
端末を小脇に抱えたティアナが入ってくる。
彼女はゲオルグの前まで来ると、姿勢を正す。
「取り調べが一通り終わりましたので報告したいんですけど、今いいですか?」
「かまわないぞ。 そこで話そうか」
ゲオルグは部屋の中にあるソファセットを指差すと、席から立ち上がる。
「コーヒーでいいか?」
ソファに腰をおろしかけていたティアナが慌てて立ち上がる。
「わ、私がやりますよ!」
「いやいや、いいんだ。 俺が好きでやってることだし。
それに、ここには俺達しかいないんだから、そこまで気を遣わなくていい」
ゲオルグが笑顔でコーヒーを淹れながら言うと、ティアナは黙ってソファに
腰を下ろ
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