彼は知らぬ間に求められる
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かに我が軍は曹操軍の次に精強だろう。公孫賛の軍と馬超の軍は騎馬に偏っていて虎牢関では期待できない。
しかし袁術軍や袁紹軍は数がいるために次の手柄のため動くはず。
そうか。張勲が我らを当て馬にする……か。ここで袁家の手柄を増やさせるよりも我らと共に虎牢関を突破する方が曹操にとっては大きい。
だがお互いの実……張遼だな。確かにあれは曹操好みの将と言えるだろう。人材収集が趣味の曹操の考えそうな事だ。
噂の飛将軍を止められるのは将豊かな我らの軍のみか。
最悪の場合抜かせて袁術軍に押し付ければいい。これならば貸しではなく対等の交渉になる。両者を相手取るのはこちらとしても骨が折れるのだから。
「雪蓮――」
「わかってるわ冥琳。いいでしょう、その提案受ける。ただし共同とは言ってもお互い干渉しあわない程度よ」
私の考えを伝える前に読み取って雪蓮は曹操の提案を受諾した。さらに十分な牽制も行ってくれる。
「ええ、話が早くて助かるわ」
しかしこれが曹操の片鱗か。大胆不敵にして、機に聡く、最善を導き出す。まさに乱世の申し子というに相応しい。
「こちらこそ。あ、曹操に一つ聞きたいことがあるんだけど」
このまま何事も無く終わるかと思ったが何故か雪蓮はそんな事を言い出した。
「徐晃、知っているわよね?」
またあの男の話か。黄巾が終わってからいたく気に入ったようだな。
引き抜きたくて仕方ないんだろう。シ水関での戦いぶりを見ても確かにあれは劉備軍にはもったいない将だが……
「ええ、知っているわ」
「あなたはあの男をどう見る?」
曹操の評価が知りたい、と言う事だろう。雪蓮は自身の評価だけでは決めきれないのか私に対しても曖昧な返答をするだけだったから。
「あれは劉備の手におえる男ではないわ。私は黄巾の時にあれを見誤っていた。あなたもあれが欲しいなら気をつけなさい孫策。あと……私はどちらでも楽しみだわ」
最後ににやりと口角を吊り上げて曹操は笑った。
しかしなんて楽しそうに語るのか。雪蓮も曹操の評価に納得したのか楽しそうに見えた。
「そう、あなたも気付いたのね曹操」
「ええ……共同戦線の受け入れ感謝する。次は戦場で会いましょう」
「じゃあまたね」
そう言って曹操は部下を連れて出て行った。二人の覇王はあの男に何を見ているのだ。
「雪蓮、あなたには何が見えているの?」
「あの男の可能性よ。私も最初は気付かなかったけどね。まあ手に入らないなら殺さないとダメかもね」
これ以上語る気はないのかどこからか出した酒を飲み始める。
少し劉備軍に間者を増やしたほうがいいかもしれないな。
「華琳様、あの男に何を見ているのですか?」
孫策軍の陣から離れて少しして秋蘭が静かに尋ねてくる。これは私と孫策しか気付き得ない
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