彼は知らぬ間に求められる
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支えになれていますか?
こうして同じ事を共有するだけで支えになれますか?
気を抜けば口走ってしまいそうになるのをどうにか我慢していると彼がこちらを見やり一言。
「どうした?」
「……無理、しないでくださいね」
私は心配することしかできない。
秋斗さんは私の言葉を聞いてふっと微笑んで、
「お前にはホント敵わないなぁ」
優しい笑顔を見せてくれる。
「わ、私は秋斗さんに何も出来ていません」
「いや、たくさん支えて貰ってる。いつもありがとう雛里」
彼の言葉は私の心を暖めるのに十分だった。嬉しい、この人を支える事ができて。
「わ、私も……たくさん助けられていましゅ。ありがとうございます」
「おやおや、秋斗殿はまた罪な事をしておられるのか」
途中、噛んでしまったがちゃんと言えたので安心していると突然声をかけられ、振り向くと星さんが意地悪げな笑みを携えてゆっくりと近付いて来た。
「おお、星。戦では助かった。おかげで俺達の兵の被害も抑えられたよ」
「いえいえ、それはこちらも同じ事。持ちつ持たれつでしょう」
「ならよかった。白蓮にも礼を言いたいんだが陣にいるのか?」
「ああー……白蓮殿は今、少し袁紹と揉めているようで、今日は多分会えないのではないかと」
「そうか、牡丹は?」
「牡丹は白蓮殿の代わりに軍のまとめを」
「……お前は?」
「暇ですな」
「働け、ばか」
「くく、雛里とちちくりあっているあなたに言われる筋合いはないのでは?」
二人の会話に聞き入っていると突如星さんがとんでもない事を言い出し、私の思考が止まった。
「おい、雛里を巻き込むな。困ってるだろ。確かにサボっている俺が言えた義理じゃないが」
「……あなたは一度牡丹に脳髄を洗ってもらうがよろしいかと」
「せ、星さん!」
「おや? 雛里も賛同してくれるか。名軍師の賛同も得られたので秋斗殿はお覚悟を。」
クスクスと笑いながらからかうのを続ける。この人はホント相変わらずだ。
「違いましゅ! 秋斗さんと私はち、ちち、ちちくりあってなんかいません!」
そう、そんなふしだらな事はしていない。星さんには私達がそんな関係に見えているのか。まだ……気持ちを伝えてもいないのに。
「あははは、冗談だ。雛里は本当に可愛い」
「あわわ……」
星さんに急に抱きしめられ、思わずいつもの子供っぽい口癖が出てしまった。
「久しぶりにその口癖を聞いた。秋斗殿、雛里は私が貰っていきますが構わないでしょう?」
どんどん話がおかしな方向へ向かっている。秋斗さんを見つめて助けを求めると、
「ダメだ。雛里は渡さん」
「……お熱いことで」
真剣な表情で言い、それを聞いた星さんからゆっくりと解放された。
そこでふいに疑問が浮かんだ。星さんは私の秋斗さんに
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