第42話 「ぼくの将来の夢 その2」
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薇園 リヒテンラーデ候クラウス■
「ルードヴィヒのいない間に、新たな策を考えるぞ」
「ほほ〜う。良いですな〜」
陛下と老人がなにやら話しこんでおられる。
また無駄な事を。
ため息がでそうになるわ。
「おお、そういえば、ルードヴィヒには嫁がおらぬ」
「そういえばそうですな。心配な事ですな〜」
なんとわざとらしい物言いじゃ。
「銀河帝国皇太子に嫁がおらぬとは、この先帝国はどうなってしまうのだ」
陛下がわざとらしく嘆いて見せる。
老人も首を振って驚いた振りをしている。
「ここは一つ。陛下が骨を折るべきではないでしょうか」
「やはり父である予が、動かねばならぬか」
「恐れ多い事ながら、今のままですと門閥貴族のいずれかが、殿下に押し付けんとするでしょうな。新しい外戚の誕生でしょうな」
「いいや、それはならぬ。ならぬのだ。新しい帝国のため、予が動かねば」
わざとらしい小芝居を、見せ付けられているわしの方が疲れるわ。
それにアレクシアが皇太子殿下の子を産むのじゃ。
いま急ぐ必要などありはせぬ。
「おお、さすがは陛下ですぞ。これで皇太子殿下も一安心というところですな〜」
「うむ。そうであろう」
二人が笑っている。
呆れて物が言えぬとは、この事じゃ。
「さて、どの家の娘を選ぶとするかのう」
「それでしたら、不肖、このグリンメルスハウゼンが、これはという娘を、探してきましょうぞ」
「おお、そうしてくれるか」
「お任せくだされ」
あー頭が痛いのう。
さっそく皇太子殿下に、報告せねばならぬな。
■総旗艦ヴィルヘルミナ ウルリッヒ・ケスラー■
うん?
いまなにやらおかしな者が、廊下の角を曲がったような?
この先には宰相閣下がおられる。
不審な者を見過ごすわけには、いかん。
私はそう思い、廊下を急ぐ。
角を曲がったところで、宰相閣下の驚いた声が耳に飛び込んできた。
いったい何事だっ!!
急いで宰相閣下の部屋に飛び込んだ。
「クラウス・ラヴェンデルっ、その格好はなんだ?」
「皇太子殿下のご趣味では?」
「うんな訳、あるかー」
部屋の中では、かわいらしいドレスを身に纏った、クラウス・ラヴェンデルが宰相閣下に迫っていた。これはいったいどういう訳だ?
卿には、宰相閣下にそのようなご趣味はないと、言っておいたはずだぞ。
「ぼくの趣味です」
「なんてこったい!! 幼年学校の綱紀粛正が必要だな」
なんと言おうか、自業自得という言葉が脳裏を過ぎる光景だった。
宰相閣下、少し悪ふざけが過ぎましたな。
頭を抱えたい気分で、目の前の光景を眺めるしかなかった。
そんな私をいったい誰が、責め
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