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皇太子殿下はご機嫌ななめ
第42話 「ぼくの将来の夢 その2」
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用も信頼もできる男だ。
 彼なら良い知恵を出すかもしれんな。

 ■宇宙艦隊総司令部 ラインハルト・フォン・ミューゼル■

 宇宙艦隊司令部にお使いを頼まれた帰り、ビュッテンフェルト少将とファーレンハイト少将のふたりとばったり出会った。

「よお、ラインハルト。飯でも食いに行かんか?」

 あいも変わらず大きな声だ。
 人を褒めるときは大きな声で、人の悪口はより大きな声で、とは少将の家訓だそうだが、それにしても大きすぎる。耳が痛くなるほどだ。

「ビュッテンフェルト少将“閣下”が“珍しい事”に、奢ってくれるそうだ。遠慮するな」

 ファーレンハイト少将が“珍しい”と“閣下”の部分を強調している。
 この二人、連れ立って食事に向かうほど、仲が良かったのだろうか?
 正反対のような気がするのだが……。

「ただ飯を無視するほど、俺も人間ができていない」
「皮肉かっ」

 二人の言い合いに頭を抱えたくなった。
 意外と良いコンビなのかもしれない。
 ビッテンフェルト少将に強引に、引きずられるように連れられ、やってきたのは踊る子うさぎ亭という定食屋だった。
 こんな所に来るのは初めてだ。
 店の中に入ると、騒がしい人の声が耳に飛び込んでくる。
 こういうのを活気があるというのだろうか?

「さあ来い。遠慮するな」

 ばしばしと背中を叩かれ、咳き込んだ。
 うぬぬ、なんという奴だ。乱暴な。

「おいおい、ラインハルトは卿と違って、繊細なのだ。手加減してやれ」
「何を言うのだ。ラインハルトも立派な軍人だぞ。まだ幼年学校の生徒だが、これぐらいで根を上げるものかっ! なあ、ラインハルト」
「う、うん」

 思わず頷いてしまった。
 最近、女装ばかりしていて、こんな風に扱われる事がなかったものだから驚いたが、これぐらいは普通の事なのだろう。
 ビッテンフェルト少将が大声で、ウェイターを呼んだ。

「俺はいつもの奴を頼む。卿らは何にするのだ?」
「うむ。この牛肉のソテー黒こしょう風味というのを貰おうか」

 ファーレンハイト少将はあっさり決めた。
 シンプルなステーキというのが、いかにもファーレンハイト少将らしい。
 二人がジッと俺の方を見てくる。
 こんな所に来るのは初めてだし、それにメニューを見てもよく分からない。普通の帝国料理ではないのか?

「このアリゴというのはどうだ?」
「アリゴ?」

 メニューを見ながら悩んでいると、ビッテンフェルト少将がメニューを指差しながら言ってきた。
 アリゴというのはなんだろう?
 ファーレンハイト少将は笑みを浮かべている。
 おかしな料理ではないらしい。

「では、そのアリゴを頼みます」
「うむ。ではそれを」

 ビ
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