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真・恋姫†無双~現代若人の歩み、佇み~
幕間:仁ノ助、酒乱と太刀を交える事
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は分かっているが、そうなれば相打ち覚悟の一撃をもらう惧れがある。数度目の主導権を握った際、仁ノ助は我慢ならぬといった具合に猛烈に攻め立てていた。

「いい加減に、しろっ!!」

 腹立ちまぎれの仁ノ助の一振りが槍の穂先に当たり、次の一振りが振るわれんとしたが連撃による疲労のためか俄かに遅さが目立つ。蒋済は目を光らせてそれに槍の穂先を絡めると、横へ振り回すように地面へと持っていき、仁ノ助に思い切り肩をぶつけて押し返す。彼がたたらを踏んで後退するその瞬間、蒋済はこれまでのお返しとばかりに下段から全力で槍を振り上げた。地面を抉るような鋭いもので、実際にそうだったのだろう、砂に混じって数センチ分の土塊が吹き飛んでいた。だがそれは紙一重でかわされ、追撃の直突きも小手によって防がれた。
 数間ほど離れたところで、両者は足を止めて睨み合う。ばくばくと心臓は興奮を伝えてくる。仁ノ助が痛そうに手を振るのを見ながら、蒋済は完全に酔いを醒まし、餓鬼と罵った相手の実力に驚いていた。

(こいつ、なかなかどうして俺と競り合う・・・!)

 地面をじりっと踏み均し、蒋済は呼吸を悟られぬようにしながら息を漏らすと、勢いよく砂を蹴り付けて駆け出した。その勢いで踏み付けていた地面が槌で叩いたかのように抉れた。肉薄する直前、蒋済は相手に向かって砂を蹴り付けて、下から掬い上げるように槍を突き上げた。敵からすれば視界を潰されて且つ一瞬刃が消えて砂煙の中から襲ってくるという動作となっており、余程修羅場を潜っていなければ回避する事はまず不可能の一撃である。
 仁ノ助はその目論見の網に掛かり、砂を浴びて目をやられてしまうが、無意識の危機感によるものであろう身体を槍よりも深く沈ませて一撃を避ける。そして彼は目を閉じたまま、相手の気配を手繰り寄せるように剣を横振りに払い、それは一撃に神経を込めた蒋済の隙を見事に捉え、彼の槍を柄半ばから斜めに切断した。

「ああっ、俺の槍が!」

 たじろいだ彼の声を頼りに仁ノ助は型通りの丁寧で、素早い連撃を振るった。上段斬りを左右から三度、そして身体を軸として横に回転しながら勢いに乗せて一撃。二度と空を切ってしまうが連撃の最後の二発は当たったようで、鉄ががきぃんと高調子を慣らし、蒋済が後ずさりするのが聞こえる。
 仁ノ助が素早く目に指をやって視界を取り戻す。十間ほど離れた場所に蒋済は立ち、柄の真ん中から両断された槍を持ち、穂先と石突を武器とするように構えていた。

「得物が短くなっちまったな。それで大丈夫かよ?」
「てめぇをやるにはこんだけありゃ十分だ。さぁ続きだ、続きだ!」

 柄をバチのように何度も叩き合わせて蒋済は威勢を露わとする。まだその顔には闘志がありありと出ており、思わぬ長期戦になりそうだと仁ノ助はさらに意思を硬くした。

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