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真・恋姫†無双~現代若人の歩み、佇み~
幕間:仁ノ助、酒乱と太刀を交える事
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が引き分けに終わる事が多くなり物足りなさを感じていた所なのだ。男には悪いが、実力を調べるという意図も兼ねて、敢て己の我儘に突き合ってもらうとしよう。
 仁ノ助は邪な問いを突き付けた。

「どうだ。曹操なんかに従わずに、俺に仕えてみないか?俺はあの小娘のように、皇甫嵩ごときにいいようにされるだけの小童で終わらぬ。ゆくゆくは天下を見据え、己の軍を興し、漢室の再興を図りたいと考えている。お前のような猛者が加われば千人力だ。どうだ、この辰野仁ノ助に・・・」

 それを耳に入れた途端、男は額に青筋を立てて瓢箪を投げ捨てる。かららと地面を転がる瓢箪から僅かばかりの酒気が溢れた。

「調子に乗るなよ、餓鬼がっ!てめぇみてぇな先行きの短い王朝に犬みたいに尻尾振る餓鬼に従うほど、俺は愚かでも軟弱者でもない!!」

 そういうと酔っているとは思えぬほど機敏で隙の無い動作で立ち上がり、槍を蹴りあげて掴むと前に数歩進みながら、胸の前でぶんぶんと振り回し、刃が足元へ向かった時に見せびらかすように鞘を蹴りつけて刃を露わにし、槍を後ろ手に構えた。幾多の命を散らしたであろう刃を閃かすそれは、荒ぶる乱世の波を悠然と待ち構えるような益荒男の構えであった。

「気が変わった!こいつを使おうとは考えていなかったが、その不快な優顔を潰せるくらいなら喜んで振るってやろう!括目して見よ、 徐州彭城郡の生まれ、蒋子通の天下繚乱の武技を!!」
(・・・嗚呼、こいつって、蒋済か。大酒飲みで誰彼相手にしても物怖じしない堂々とした態度。文官だと思っていたんだけど、そうとはいかんのね)
 
 どうやら目前に立っているのは史実では蒋済といい、合肥の戦いから曹丕の時代まで魏に忠心を尽くした将であるらしい。史実では知謀に長ける将であったが、この世界ではまったく正反対の特徴を備えているといえよう。
 などと感慨に耽るのはよくない。相手にする以上、覚悟を決めていた筈だと仁ノ助は背中に背負っていた愛剣、両刃の長剣の柄へと手をやる。しかし蒋済はそれが抜かれるのを待たず、狼のように槍をまっすぐに構えて疾駆した。数間の距離などあっという間に縮まった。

「せいやっ!」

 鋭い直突きを防ぐには抜刀が遅すぎる。仁ノ助は背を晒して、抜かれつつあった大剣の刃の面で突きを受け止めると、二度目の突きよりも身体を沈めながら鞘を逆手に持ち、お返しとばかりにそれを相手に投げ飛ばす。鞘は鳩尾に当たって蒋済はたまらず一瞬息を詰まらせた。その隙に仁ノ助は距離を取り、改めて剣を構えた。将であるに相応しき堂に入った態度であった。
 蒋済はふぅと息を整えると、赤ら顔で凄んで見せた。

「剣で槍に立ち向かうなんて・・・餓鬼、お前けっこう馬鹿だろ!?」
「これが俺のやり方だ。さぁ、天下繚乱なんて大層な言葉を使っているん
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