第聖夜話
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ておきながら。
「……あの従姉のことはともかく。まあつまり、お前は勘違いで落ち込んでたってことだよ」
「なっ……お、落ち込んでなんていないわよ!」
「はっ、どうだか。シリカから聞いた話じゃ……」
「ウソよウソ! シリカのウソ!」
さっきまでの落ち込みようはどこへやら、里香はかっとなって翔希とのいつもの口論に発展してしまう。ヒートアップして回りのお客様に見られたところで口論はストップし、二人してただの笑い話にしか過ぎなくなった。
「アハハ……ところでさ、翔希の用事ってのはその従姉さんの観光なわけ?」
「いや……まあ、確かに観光も兼ねてたな」
妙に歯切れの悪い翔希の台詞に里香は違和感を持った。気にしてみれば、先程までは席にいたポニーテールの女性が、既にいなくなってしまっている。翔希の従姉ということならば、里香としては少し話してみたかったのだが……
「あいつは帰った。……というか帰らせた。用事は……あー……その、なんだ」
「なによ、歯切れ悪いわね。本当はパーティーの買い出しサボっただけじゃないの?」
面白がってニヤニヤ笑いながら追求すると、翔希は苦い顔をしながら持っていたトートバックから小さい袋を取り出し、台詞の代わりと言っては何だが里香へと差し出してきた。
「……なによ、これ?」
里香は怪訝とした表情で翔希から渡された紙袋を見ると、翔希の顔を伺いながら開けてみると……中身は、純白の髪留め。
「……メリークリスマス、里香」
顔をほのかに赤らめながらそっぽを向く翔希から、そんな言葉が吐き出される。確かに今日はクリスマスで、つまりこの髪留めはクリスマスプレゼントということで、翔希の今日の用事は――という風に里香の頭が高速回転していく。
「……えっと?」
その結果漏れ出たのは小さい疑問の声で、翔希は髪をクシャクシャにかきむしりながら、半ばやけっぱちのように呻いた。
「その髪留めは俺からクリスマスプレゼント! 従姉はプレゼント選びを手伝ってもらってた! 用事はプレゼントを買うこと! ……以上で説明を終わる……」
まるで早口言葉でまくし立てた後、そこで照れが限界に達したのか、机に突っ伏してしまいそうになる翔希。里香は言われてみれば服屋で一度見失った時、従姉と小物屋から出て来ていたと思いだす。
翔希が服屋でエプロンドレス見ていた時、従姉にさんざん里香のことを聞かれた後、そのアドバイスによって購入した髪留め。……髪留めというと翔希からしてみれば、SAOでの苦い思い出の一つである《カミツレの髪飾り》を否応なく思い出させるので、少しばかり抵抗はしたものの……従姉に押し切られてしまった。
「……バカはあたし、か……」
まさかこんな
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