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SAO−銀ノ月−
第聖夜話
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失敗することが有り得ない状況だったが……その時悲劇は行った。

「完成品は……何故かホットケーキじゃなくてガーリックステーキになってたわ……」

 この錬金術には明日奈も匙を投げるしかなく、今度はもう少し簡単な物に挑戦してみようということでお開きとなった。里香は落ち込んで肩を落とし、珪子は話題を変えるために翔希たちの方を指差した。

「り、里香さん! あ、アレ……」

 そして結果的に、それが里香へと追撃になったような気がしないでもない。黒髪の女性の顔が、翔希の顔へと近づいていっているのだ。

「ちょっ! ちょっと……」

「ダメですって里香さん、バレちゃいますって……!」

 珪子は暴れる里香を無理やり抑えつけると、里香も平静を取り戻して物影に隠れてスパイのように気を伺った。珪子も顔を手で抑えながらも、しっかりとその隙間から翔希の姿をおさえている。

「……ど、どうしましょうか里香さん……里香さん?」

「…………」

 珪子が問いかけた里香の横顔は翔希たちから目を背け、どこか寂しそうでもあり、何かを考えているようでもあり……泣き出しそうになっているようでもあり。いつも明るく振る舞っている里香には、似つかわしくない表情だった。

「里香さん……」

 珪子が里香の横顔をじっくり眺めている間に、翔希と黒髪の女性の人影は離れていく。そのまま二人は歩いていき、近くにある比較的空いているファミレスへと入っていく。

「……私たちも行きましょうか、里香さん」

「……うん……」

 彼女たちもそれを追ってファミレスに入っていく。クリスマスということで、やや賑わってはいるが満員ではない様子で、容易に翔希達が見える席へと座ることに成功する。

「コーヒー二つお願いします」

 珪子は早々と店員に二つコーヒーを注文すると、少し経った後に来たコーヒーを里香に差し出した。里香はそのコーヒーを貰うなり、やけ酒のように一気にかっこんだ。

「苦ぁ……」

「そりゃそうですよ……」

 珪子は呆れた顔でミルクと砂糖を入れてかき混ぜながら、チラリと翔希たちを覗き見る。彼らもこちらのように談笑しながら、特に何をするわけでもなくお茶を飲んでいるようだ。

「翔希も、あんなに可愛い彼女がいるなら教えてくれれば良かったのにねー……」

「里香さん……私、ちょっと席を外しますね」

 ミルクコーヒーのおかわりという訳でもないだろうに、珪子は席を立ってどこかへ歩いていく。もう少し何か理由がつけられないかと思ったが、今は珪子のその優しさに感謝しながら、残っていたコーヒーを飲み干した。

「苦いなぁ……」

 ブラックコーヒーは得意だった筈だけど、と思いながら里香はコーヒーカップを机の上に置いて俯
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