第聖夜話
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からはじっくりと見えることが出来る絶好の位置だった。
「……女物の服みたいですね」
ひょっこりとシリカも服の隙間から顔を出し、翔希たちが見ている服をチェックする。やっぱり乗り気じゃない、などと珪子に言いたくなるものの、また一悶着あっても困るので止めておこう。
翔希の服ではない筈なので女性の方だろう。どんな服かと思って少し顔を出してみると。
「……エプロンドレス?」
否、エプロンドレスだけではなく割烹着などもあり、一見すると料理をする女性用の服装にも見えるが……リズベットには分かった。これはそういうモノではなく、『コスプレ』用の服だということを。
「何でこの店はあんなコーナーがあるのよ……」
良く見れば向こうには更にマニアックな服装まである。……少々恥ずかしい物もあったので視線を落とすと、自分の学校帰りの制服が見える。
『こちら』ではもちろん、アスナによって着せ替え人形――もといプロデュースされたエプロンドレス姿ではなく、向こうに飾ってあるエプロンドレスが少し懐かしい。
「買っていこうかな……」
「あ、里香さん! 翔希さん達、違うところ行くみたいですよ!」
一瞬だけ頭に浮かんだ妙な考えを、珪子の声で振り切って翔希たちを見ると、確かに店の外へと出て行こうとしている。
「や、やばっ!」
「ちょ、ちょっと里香さ……」
慌てて服の隙間から出ようとしたところ、同じように出ようとした珪子の足に引っかかってしまう。そのままもみくちゃになりながら服の隙間から這い出ると、さて二人を追おうとして立ち上がると、里香の前に影が立ちはだかった。
「お客様、少しよろしいですか?」
お客様は神様ですとは言うものの、真の支配者は店員だということを思い知らされたのだった。
「酷い目にあった……」
「あいましたね……」
支配者こと店員から解放された二人だったが、完全に自業自得なので反省するほか無い。そしてあわや翔希と女性を見失ってしまうところだったが、運良く商店街の小物店から出て来るところを里香が発見することが出来た。
「……そう言えば里香さん、料理って出来るんですか?」
エプロンドレスということでふと思い出したのか、珪子は商店街を歩く翔希たちをつけながら里香に問うと、里香はとても分かりやすくうろたえた。当然のようにこちらに――つまり買い出し係――にいる時点で、そのことは予想出来ていたのだが。
「この前、明日奈に教えてもらってホットケーキを作ったんだけど……」
美味しく作ろうとするなら難しいものの、作るだけならばレトルトを使えば後は焦がさないようにするだけ、というお手軽料理ことホットケーキ。しかも料理上手の明日奈が同伴するという、
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