暁 〜小説投稿サイト〜
SAO−銀ノ月−
第聖夜話
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サボっておいて何してるの?』とでも軽口を叩きつつ話しかけ、翔希の用事もあるのでそこそこに切り上げて買い出しに戻る……ところであるが、今回ばかりはそうもいかなかった。何故なら翔希の隣には、彼女たちが知らない異分子が存在していたからだ。

「誰、あれ……?」

 翔希の隣にいるのは彼女たちの知らない――女性だった。黒い長髪をポニーテールに纏めて、翔希と並んでも違和感の無い高身長の里香たちが知らない女性がいる。

「綺麗な人ですね、あの人」

「むぐぐ……」

 妙な声を出してしまったが、その点は里香も認めざるは得ない。通りにいる他の男女のように、違和感もなくカップルをしている感覚さえ感じられる。

「SAOで知り合った人でしょうか……?」

 彼女のことをついぞ聞いたことのなかった珪子は、自らと似たような経緯で知り合ったかと思ったが、あそこまで美人ならSAO内で少しは有名になっていそうなものなので違うだろう。SAOに行く前の先輩か何かかと思い、邪魔をしないように買い出しを続けようとした時、珪子は隣の里香がボソッと何かを呟くのを聞いた。

「……? 何か言いましたか、里香さん」

 振り向いた珪子の手を里香はいきなり握り締めると、先程ボソリともらした言葉をもう一度言い放った。寸分の迷いもなく。

「尾行をしましょう」



「やめときましょうよぉ……」

「誰かだけぐらいは……」

 まずは服屋に入った翔希と女性の後を追い、買い出しを後にして彼女たちもその服屋に潜入していた。服屋ということが幸いして、帽子と伊達眼鏡といういわゆる変装ルックに身を包み、その挙動不審さも併せて順調に不審者と化していっている。

「そんなこと言うわりには、珪子だってきちんと変装してるし……もしかして、やってみたかったんじゃないの?」

「そ、そんなこと無いですよ!」

「あ、バカ……!」

 シリカの――恐らくは本音を暴露された驚きによる――大声に、翔希と女性がチラリとこちらを見たものの、里香が手を引いてとっさに陳列している服の中に隠れることで事なきを得る。里香はそのまま服の中に隠れたまま、小声で珪子に声をかけた。

「バレちゃうところだったじゃないのよー……」

「す、すいません……でも、何見てるんですかね?」

 一条翔希という男はあまり服装にこだわりを持っていない。SAO事件が解決し、こちらの世界に帰ってきてからは、黒いコートを好んで着るようになったものの……動きやすいということ以外、あまりこだわりはないと里香は記憶していた。

 なので服屋に入ったことからして珍しく、何を見ているのかと隠れている服の隙間から翔希たちの姿を見る。不幸中の幸いと言ったところか、あちらからこちらからは見にくく、こちら
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