青い春
陸 自分だけ
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いや、恐らく選手としての格が違うのだろう。
これほど「出来る」のに、何故野球部にすぐ入らなかったのか。入学直後入らなかったのに、何故今になって入ってきたのか。
「わからんなぁ…」
自分も歳をとったのか?
高校生の考える事が分からんとは。
加持はため息をついた。
ーーーーーーーーーーーーー
「あのー」
「ん?」
規定の球数を打ってバッティングケージから出てきた剣崎に、慶太が声をかける。
「どうやったらあんな打球g…」
「練習だ」
慶太の言葉を最後まで聞くまでもなく、剣崎はつっけんどんに答える。剣崎との会話は誰が相手でもだいたいこんな感じである。無愛想で、とっつきにくい。筋骨隆々で背も高い剣崎に言葉を遮られ、小柄な慶太はビク、と少し怯えた。
「ん?あぁ…その、なんだ…筋トレとかだ」
こうやって周りをビビらせてる事自体は本意ではないらしく、多少は気にしてるようでもあるが、その割には話し口と他人への態度にあまり改善は見られない。
「変な人やなー」
バッティングケージの後ろに設置されたティーバッティング用のネットで打ち込みながら、藤次がつぶやく。
「中学時代は北海道の新琴似シニアの3番バッターだ。全国制覇もした事あるシニアのクリーンナップだぞ。何でこんな高校に居るんだろう」
藤次にボールをトスしていた健介は、不意にニヤニヤと笑って藤次を見た。
「ま、鈴原藤次さん、エースと四番両方陥落おめでとうございまーす」
「何やてェー!?」
藤次が血相を変えて健介に飛びかかり、その頭を締め上げる。健介は慌てて、床をバンバンと叩いてギブの意を表明する。もちろん藤次、容赦はしない。
「もー!あんた達、何やってんのー!」
光が怒声を上げて藤次の頭をはたく。
三つ巴の戦いになってきた所で多摩がポツリと
「喧嘩するほど仲がいい、ね」
その呟きは本人たちには全く聞こえていなかった。
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