第八十一話 起源となすもの
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『今になってというのが間違いだ。今というタイミングだからこそ放ったのだよ。派閥として分裂した事で軍事力を持つ存在の内部における反対派が一気に炙り出された。そして、泥沼の戦争に至る前に一掃する。いかに連合が沈んだとはいえ、内部で争っている間に消耗し、他の勢力によって漁夫の利になっては堪らんからな』
議長は淡々とメサイアからネオ・ジェネシスが発射された理由をキラに話す。
『内側に巣食う味方の存在は時として敵よりも恐ろしいものだ。かつてのラクス・クラインがそうであったようにね。であれば、今ここで敵として区別した方がまだやりやすい』
「――――何を、貴方は何をしようっていうんだ!」
キラは議長に対して怒りが沸き立っていた。何故こうまでこの男は平然としていられるのか。味方を撃つことは彼にとってそこまで心を揺らさない程度の事だというのか。まるで人形のようではないか。キラはデュランダル議長の行いが酷く非情なものだと、そう感じた。
『無論、人類の永遠の悲願である恒久的な平和への道を創り上げる事だ』
「貴方の言うそれが……その先に平和があると本気で思っているのか!ギルバート・デュランダル!」
吹き飛ばされ、距離が開いたとはいってもノイエ・ジールUは損傷している。今のキラならば落とせると判断してビームライフルを構える。しかし、構えられてなお、議長は怯むことなく話を続けた。
『子供の理屈だな。平和を得ようとする道において、九を救う為に一を消すのは当然の帰結だろう?』
「ッ……やはり傲慢なのは貴方の方だ!そんな人を数字で数えるような人間に、人が救えるか!」
『ああ、私という存在は傲慢だとも。そして、それは私自身と、私と同等とも言える存在、そして君のような存在には許される事なのだよ。スーパーコーディネーターのキラ・ヤマト』
ノイエ・ジールUからビームライフルが乱射される。キラはそれを回避して反撃に移ろうとするが、既にノイエ・ジールUは後方に向けて加速しており、今の状態で撃てば一撃で仕留めない限り逃すことになる。そう判断して追いかけようとする。
しかし、ノイエ・ジールUの速度は単純な直線機動においてはストライクフリーダムを上回る。徐々に距離を離されるキラ。これ以上追えば他の敵部隊に囲まれると判断し、そうなってしまえば議長を構う余裕はなくなると判断して追うのを諦めた。いや、諦めざる得なかった。
「クソッ!」
キラはコックピットの中で拳を叩き付ける。しかし、いつまでもそうしているわけにはいかないと思い直し、キラはアークエンジェルの方へ援護に向かう事にした。
◇
「――――チッ、戦闘が起こっただと?内輪でもめてるからこうなるんだ」
周辺の警戒の為に出撃していたマーレはメサイア周辺
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