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剣の丘に花は咲く 
第十章 イーヴァルディの勇者
第四話 決断
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ッタの言葉に、悲しみの色に顔を染め上げたルイズが頬を赤く染め上げると顔を伏せてしまう。
 そんなルイズの姿に、アンリエッタは微笑ましげに頬を緩ませる。
 ルイズの姿に目を細めたアンリエッタは、視線をルイズから窓からのぞく赤く染まりだした世界に動かした。



「きっと、あなたも満足いくと思います」



 そして、赤い世界の向こうに見える、星の輝きを見るかのような遠くを見つめる目を窓の外に向けながら、



「彼の目指す『正義の味方』の姿に……」


 
 アンリエッタは誰に言うでもなく囁いた。







 


「ちょ、ちょっと隊長それはどういうことだよっ!?」
「どうもこうも、今言った通りだ」

 目の前で憤りを露わにする小太りの少年―――マリコルヌを前に、士郎は言い聞かせるようにゆっくりと声を上げる。
 学園に戻ってきた士郎は、直ぐに自分の部屋に戻った。そして士郎たちの帰りを待っていた者たちに、タバサの救出の許可への是非についての結果を伝えたところ、その反応は様々であった。

「トリステインの貴族である僕たちの誰かが捕まれば、外交問題……最悪戦争になる……か、確かに陛下が許可を出すとは思えないね」
「捕まらなくても、問題になるだろうしね」

 仕方がないと納得する者。

「でも……どうにか出来ないかな」

 諦めきれない者。

「ギムリの言う通りだよっ! 隊長は見捨てるのかよっ!」

 怒りに声を上げる者。

「そうは言ってないでしょ。少し落ち着きなさい」

 士郎に食って掛かろうとするマリコルヌの前に腕を出して止めたロングビルが、眼鏡をかけ直しながら注意する。

「でもあなたがそんなに怒るなんて、少し意外ね」
「意外とは何だ意外とはっ! 学友を心配しない男がいるかねっ」

 ふんすっと鼻息も荒く腕を組むマリコルヌにキュルケが感心したように声を上げる。

「ふ〜ん、あんたがそんなに友情に厚いとは知らなかったわね」
「まあねっ」

 胸囲だけならキュルケにも負けないだろう胸を張るマリコルヌの姿に、お茶を片手に壁を背にしたジェシカが「むふふ」と口元を歪めた。

「で、ホントのところはどうなの?」
「いやここで格好良く決めたらイルククゥさんが僕に惚れるかもしれないだろ?」

 むふんっと鼻息も荒く、デレレと顔を緩ませるマリコルヌ。そんなマリコルヌに、部屋にいる女性陣から冷めた視線が向けられる。

「最低」
「最低ね」
「最低ですね」
「あはは、正直と言うか何て言うか……最低ね」
「きゅきゅい、さいてい?」

 士郎の部屋にいる六人の女性の内、五人から冷たい視線を向けられたマリコルヌの視線が、助けを求めるように残
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