第十章 イーヴァルディの勇者
第四話 決断
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ルケなどが疑いを掛けたりするトラブルも起きたが、彼女が呼んだシルフィードによりその疑いも晴れることに。
イルククゥが言うには、タバサは裏切りによりガリア王政府からシュヴァリエの地位が剥奪され、母親を拘束されることになったと。そのためタバサは母親を救出にガリアへと向かったが、奮闘虚しく待ち構えていたエルフにより囚われの身となってしまった。
士郎にすがりつき涙ながらにタバサの救出を訴えるイルククゥに、士郎は『絶対に助けてみせる』と応えてみせた。
しかし―――。
「―――なのに助けてくれないのね……」
「その、イルククゥさん。シロウさんは別に助けないとは」
「今すぐに助けないといけないのね。何だか嫌な予感がするのね……このままだと、二度とお姉さまに会えないような……」
シエスタの声に、力なく床に座り込んだイルククゥが首を左右に振る。
しんっと静まり返る部屋。
イルククゥはのろのろとした動作で立ち上がると、引きずるように足を動かしドアへ向かう。
「っ、イルククゥさんっ!」
力ない姿で部屋を出て行くイルククゥの背中をシエスタが追いかける。
「隊長」
「その、陛下の言うことも最もですが、やっぱり……」
「女の子を泣かせる趣味は僕にはないんだけど。本当にこのままでいいのかい?」
「そうだね、泣かせるよりも鳴かせてもらいたいね」
言外に救出を訴える(一部違う)水精霊騎士隊の隊員に囲まれる士郎だが、一度首を横に大きく振る。
「駄目だ。俺だけが処分されるのならばいいが、下手をすれば関係のないものたちまで巻き込んでしまう……お前たちの気持ちもわかるがここは耐えてくれ」
腕を組み顔を伏せる士郎に、部屋に残った者たちの視線が刺さる。
「……ルイズはこのことについて何か言っていましたか?」
そんな中、ただ一人口につけたカップを傾けていたカトレアが不意に声を上げた。
未だ城から帰ってきていないルイズのことを、共に城まで向かったキュルケに視線を向け尋ねるカトレア。
「……ルイズなら、『そう』って言っただけで、特に何も言わなかったわね」
「なら、わたしも特に何か言うことはありませんわ」
カップをテーブルの受け皿に置いたカトレアは、すっと椅子から立ち上がる。
「それではわたしは少し用事がありますので、これで失礼します」
部屋に留まっていた人達に頭を下げたカトレアは、そのまま静かに部屋を去る。
残った面々は、互いに顔を見合わせるとそれぞれカトレアの後を追いかけるように部屋を出て行く。最後まで部屋に残っていた水精霊騎士隊の面々も、部屋の隅に未だ転がったままのマリコルヌを蹴り転がしながら部屋を出ていった。
ただ一人自
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