第十章 イーヴァルディの勇者
第四話 決断
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る最後の一人に向けられる。
最後の一人。椅子にゆったりと座り、先程メイド―――シエスタから入れられたお茶を飲んでいたカトレアが「ん?」と視線を傾けた。
「み、ミス」
「う〜ん。どんな理由でも助けようとするのは素敵なことよ」
「―――っ! おおっ」
カトレアが唇に指を当てながら、小首を傾げ、サラリと音を立てながら桃色の髪が揺れた。
マリコルヌが初めての援護の声に喜色の色を浮かべる。
だが、
「でも、ちょっと最低ね」
ニコリと笑うカトレアの姿に、マリコルヌはガクリと膝を落とした。
「あ〜……話を続けてもいいか?」
「ええ、大丈夫よ」
床に突っぶして動かなくなったマリコルヌを部屋の隅に蹴り転がしたロングビルが頷く。
部屋の隅で「うっうっ」と泣きながら震えているマリコルヌの姿を横目に、士郎が冷や汗を額に浮かべながら頬をヒクつかせる。
マリコルヌが受ける仕打ちにではなく、そんなマリコルヌを完全に無視する女性陣の姿に、部屋にいる男たちの顔に冷や汗に流れ出す。
「とは言え、話すことはそうないが……タバサの救出については先程言った通り―――外交で解決することに決まった」
「……ふ〜ん……外交で……ね」
士郎の言葉に、ロングビルが口元を片手で覆いながら顎を引く。
「きゅきゅいっ! それは困るのねっ! 今すぐ助けないとお姉さまが危ないのねっ! 早く早くきゅきゅいッ!」
「い、いやイルククゥさん。陛下の許可がもらえなかければ救出には」
手足をばたばたと振り回しながら騒ぐイルククゥに、レイナールがまあまあと両手を振り落ち着かせようとする。
だが、イルククゥは落ち着くどころか、ますます声を荒げた。
「きゅきゅいっ! そんなこと言ってもダメなのねっ!! いいから行くのねっ! 絶対助けてくれるって言ったのねっ! それは嘘だったのねっ!?」
遂には涙を流しながら声を荒げるイルククゥの姿に、部屋にいる者たちの顔が渋く歪む。
涙を流しながら訴えるイルククゥに、士郎の脳裏にイルククゥとの出会いが蘇る。
イルククゥと出会ったのは、昨日の夕方のことであった。修練が終わり、疲れきっているだろう水精霊騎士隊を回収しようと赴いたところ、何と裸の少女を囲み騒いでいるギーシュたちを目にした。
結果―――。
死屍累々と転がる水精霊騎士隊……。
士郎がギーシュたちの始末について考えを巡らしていると、後から現れたシエスタたち女性陣が、裸の少女に服を着せ事情を聞いたところ、その少女がタバサの義妹であり、タバサの救出を求めにやってきたことが判明した。
イルククゥと名乗った裸の少女。
突然現れタバサの救出を願うイルククゥに、キュ
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