デュエルペット☆ピース! 第2話 「聖職」(前編)
[9/18]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
たァ、ほどよく汗ばんで湿っていて、これだから車内はやめられませんよねぇ、だからどうしても続きがしたくなりましてぇ、だって毛まで行ったんですよ? もうほとんど本番OKみたいなものでしょうそれェ、だからね、ここで、ここで続きをぉぉっホホォ』
突然まくし立て始めた衛士教諭の声が、だんだんこの世のものとは思えぬくぐもった響きを混じらせていく。聞き覚えがある変調であった。それは、昨日の朝白き竜を使役していたあの女学生と、そっくりの変容である。
ぎらりと、衛士教諭の右薬指の指輪が発光する。蛍光灯の反射ではない、指輪自体が光源となった、紫の光が、アズの瞳を打つ。
(これは、まさかデュエルピースの力!?)
直感とともに、アズは立ち上がって逃げようとする―――が、一瞬早く中年男がアズの腕をつかんだ。
「いたぁっ……!」
痛みにアズの顔がゆがむ。教室からの誘導の時と違い、欲望まみれの、容赦のない手が、ぎりぎりと少女の細腕を締め上げていた。振りほどこうとするが、握る力のあまりの強さに試みることもかなわず、そのまま、仰向けに床に引き倒されてしまう。背中を強打し息が詰まって、たまらず酸素を求めて開いたアズの口に、ハンカチの類と思しき布切れが強引にねじ込まれた。
「むぐぅっ!?」
助けを呼ぶ声を封じられたのだと意識する間もなく、中年男の身体が覆いかぶさってくる。男の体格は中肉中背という程度だったが、同年代とくらべて小柄な部類に入るアズとでは、絶望的なほどの体格差があった。
抵抗しなければ―――という思考も、先手を打たれることになる。中年男はアズの頭を乱暴に引っつかむと、床にたたきつけた。
「あ゛ぅぅっ!」
がつん―――鈍い音とともに、アズの目の前に火花が散り、続いて痺れと激痛が中枢神経を駆け巡った。衝撃に神経系の一部が麻痺してしまったのか、思うように体が動いてくれない。続いて男の腕がもう一度少女の頭を持ち上げ、叩きつける。二度目の衝撃に、今度は抵抗の意思までもがごっそりと削り落とされてしまった。だがそんな心情にはお構いなしに、三度目の衝撃が彼女の頭部を襲う。脳に直接衝撃が伝わって、アズの全身から力が抜け、意識にもやがかかる。
「んぅ……」
ぐったりと脱力するアズを、彼女にのしかかった中年男が満足げに見下ろす。思えば、道端であの光るカードを拾ってから、彼の生活は輝くばかりの幸運の連続であった。通勤の度に目に入る若い肉体を直接この手で味わいたいという欲求は、彼が30代半ばに差し掛かり、それなりに安定した地位と生活を確立したころから、くすぶり始めていた。もちろんその行為は、彼の地位と生活を脅かしかねないリスクが付いて回るものであり、彼自身それを認識していたからこそ、それからの数年間、欲望をきちんと抑制して生
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ