デュエルペット☆ピース! 第1話「転校生ふたり」(後編)
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『…………!』
立ち上がった少女を見上げる獅子は、喜びも、感嘆の言葉すらも発することができなかった。朝日に照り輝く傷だらけの少女の顔は、彼の世界の女神のそれと重なり、獅子が一瞬目を疑ったほど。それほどに、神々しかった。
ツキ
『ぎぃぃ……まだ生きていたのぉ……しぶといィぃ!』
アズ
「あなたは……わたしに言いましたね……死ね、と」
ツキ
『ああ! 今でもそう思ってるよ! このクサレ穴! あんたがいなきゃ私は今頃友達百人皆殺しィぃィぃッ!』
アズ
「わたしは……何があっても約束を守る……だから死なないし……登校するのもわたしです!」
少女の瞳に戦意の光がともる。それは炎に焼かれ、傷つき倒れる以前よりも、はるかに強く、凄絶な光であった。
その瞬間、少女の脳裏に、このデュエルを勝利に導くカード達が、次々と流れるように浮かびあがる。次に彼女がドローするカード、召喚すべきモンスター、重ね合わせるべき力、紡ぐ言葉、斬り捨てる敵、それらの全てを、直感的に捉え、理解する。あとはそれを、現実のものとして引き寄せ、掴み取ればいい。それが、小鳥遊アズサのデュエルなのだから。
デッキの一番上のカードに右手を掛ける。ふわり、と決闘の流れが変わりつつあることを示すかのごとく、二人のデュエリストの間を涼風が駆け抜けた。それが、合図。
しゃなりっ―――摩擦音とともに、少女は新たな未来を引き当てる!
アズ
「わたしのターン!」
引き当てたカードは、生命の紋章、アンクが描かれた緑色の札。少女の肩の位置まで再び浮遊した獅子は、そのカードを目にして驚嘆した。
ナイト
『こ、これは……こんな強力なコモン・マジックを初めてのデュエルで……?』
アズ
「獅子さん。これからわたし、自分が思った通りに戦ってみます。だから、わたしのこと、見ててくれますか?」
ナイト
『ああ……もちろんだよ。もとよりデュエリストは君だ。私はただのペットに過ぎない。だから、私が見ているから、がんばれ!』
アズ
「はいっ! わたしは、《召喚僧 サモンプリ―スト》を召喚! このカードは召喚成功時、守備表示となる!」
黒の魔法胃に身を包んだ僧侶が、フィールドに現れ、足を組んで座り込む。
《召喚僧 サモンプリースト》DEF:1600・☆4
ツキ
『なによソイツゥ! その程度、フルムーンアイズの効果で攻撃表示にして破壊してやるわァ! やっぱり勝つのは私よォ!』
アズ
「続いて、手札より、魔法カード《死者蘇生》を発動!」
ツキ
『なッ! 魔法カードぉ!?』
アズが手札から、たった今引き当てた緑のカードを示し、ディスクにセットする。対応してアンクの紋章が空中に現れ、光を発した。
ナイト
『魔法カード……モンスター
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