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偽典 ドラゴンクエストV 勇者ではないアーベルの冒険
第7章 終わりの始まり
第参話 いざ、決戦へ
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そして俺は、ゾーマ戦での戦闘戦術について説明し、翌朝の作戦決行となった。


いよいよ、明日大魔王ゾーマを打ち倒す。
俺はベッドの上で考えていた。
「勇者オルテガは問題ない」
勇者オルテガは現在、ケガの回復のためリハビリを続けている。
だから、ゾーマの居城で何をやっても問題ない。
俺は、問題が無いことを確認し、眠りについた。



翌朝、ラダドームの南ある浜辺に、俺達はいた。
目の前にある海の先に、目指すべき城があった。
ゾーマの居城である。

ゾーマの城は小島の上に存在している。
ゲームでの勇者は、イベントをこなして島へと渡る橋を造った。
俺達は、別の方法で島へ渡るつもりだ。
当然勇者オルテガのように、泳いで渡るという選択肢はとらない。
水着もないし。

ラダドームの住民は、毎日あの城を眺めては、不安と恐怖の日々を過ごす。
そして、その心がもたらす闇の力でゾーマは自らの力の糧としているのだ。

だが、それも今日で終わらせる。
俺達の力で。
俺は、後ろを振り返り、仲間をひとりひとり眺める。

全身を鍛え抜いた筋肉で固めた男。
しかし、その筋肉は飾りではなく、軽やかな動きで敵の急所をねらい打ちすることができるために存在する。
そして、力だけでなく精神の強さは、優しい顔の奥に秘める二つの黒い瞳が物語っている。

その隣には、闇夜に溶けるための黒衣を身に纏った少女。
俺の願いに答える形で、商人から盗賊へ職業を変え、素早い動きを阻害するからと、美しい長髪をためらうことなく犠牲にした。
力、素早さ、体力ともに、高いレベルで維持しているのは、日頃の努力のたまものだ。
獲物をねらう眼光は大魔王相手でも、臆することなく輝いている。

最後に、竜の魂が込められた衣をまといし、青い髪の乙女。
苦難の旅を、愚痴一つこぼさず、ついてきてくれた。
やさしい言葉で、どれだけ仲間達の傷を癒してくれただろうか。
回復のスペシャリストとして、これまで、死者を出さなかったのは、彼女の冷静な判断力だった。

決して、俺ひとりではここまで来ることはできなかった。
そして、全てが終わったら3人に、本当のことを話そう。
たとえ、何を言われても構わない。
それが、みんなをここまでつれてきた俺の責任であるから。


だが、まだ終わってはいない。
そう、魔王ゾーマを倒してからが、終わりの始まりなのだ。
「さあ、始めよう。
ドラゴラム」
俺たちは、大魔王ゾーマ討伐作戦を開始した。

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