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偽典 ドラゴンクエストV 勇者ではないアーベルの冒険
第7章 終わりの始まり
第壱話 偽典・名探偵なのは?アーベル君
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ンタルへの突っ込みは脇に置くことにして、俺は光った場所の穴掘りを開始する。



「穴掘りを使う?」
テルルが商人だったときに覚えた呪文の使用を提案するが、
「いや、問題ない。
何度か掘り返された跡がある」
俺は、掘り進みながら応える。
「大丈夫ですよ、テルルさん。
俺の武術には、穴掘りも修行の一つにありましたから」
タンタルも元気に返事しながら掘り進める。

「中の笛を、壊さない程度にな」
俺は、タンタルの豪快な掘り方に注意すると、
「そうでした」
タンタルは、掘るスピードを緩めた。



やがて、俺の手に堅く冷たい感触が伝わった。
「これか」
タンタルは、素早い動きで、周囲の土を吹き飛ばすと、金属製の箱が姿を現す。

「これが、妖精の笛?」
「いや、箱だから」
俺は、箱を開けると、中から木箱が現れる。


「箱?」
タンタルが首をひねる。
「土にかぶらないために、二重にしたのだろう」
俺は、何処かで見たことのある木箱だな、と思いながら木箱をあける。

そこには、布がおかれていた。
「衝撃を吸収するためか」
俺は、笛を置いた人間が丁寧に笛を扱っていることに感心しながら、丁寧に布をはがす。


「何も、無いだと!?」
俺は、驚きの声を上げる。
布のなかには、何もなかった。
俺は衝撃を隠せない。
レミラーマが、嘘を伝えるはずはないからだ。
「どうするの?」
テルルが俺に尋ね、俺が驚きから回復し、自分の考えを伝えようとしたときに、

「そこで、ナニをしている!」
男が、俺たちの前に現れた。

男は、たくましい体躯と、丸く大きな顔、今にも襲いかかってきそうな姿勢から、ダースリカントを人間にしたような印象を受ける。

男は驚いている俺たちを無視して、低く唸るような声で、話を始める。
「さあ、みなさん。
この人たちが、犯人のようです。
まさか、複数犯とは思いませんでしたが」
いつのまにか、周囲に村人たちが集まってきた。
「複数犯?」
セレンは首を傾げる。
「そうです。
我が村のアイドル、ニャーミちゃんの笛を盗み出した犯人ですよ!」
男は、後ろにいる少女に視線を向ける。

その少女は、この世界では珍しいピンクのノースリーブを華奢な体に身につけ、髪の右側にリボンをつけていた。
顔は少し不安そうな表情をしているが、普段しているであろう愛くるしい印象は残っており、まるで子猫のように思われる。
さすがこの男が、この少女のことをアイドルと呼ぶだけのことはあるなどと、俺は感心していた。

「その箱は、ニャーミちゃんが持っていた箱、そしてお前が持っているその布は、ニャーミちゃんの布。
お前たちが犯人で間違いない!」
男は、右手の人差し指で俺を指し示
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