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乱世の確率事象改変
彼は一人怨嗟を受ける
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こまで連携が出来るのか。
 舌打ちをしながら向かい来る敵を屠り、徐々に下がり始めることが出来そうだと考えたその時、戦場にはあまりに不釣り合いな音が鳴り響いた。



 公孫賛の軍がここまで精強だとは思わなかった。これは自分の失敗だ。
 気を取られ過ぎて華雄隊が分断され始めているのに気付けなかった。いや、うまく意識から逸らされていた。公孫賛と関靖の阿吽の連携はそれほどまでに脅威だったのだから。
 やっとこちらの一番部隊を引き連れて抜ける事が出来たので華雄の突撃していった中央に駆けて行く。
 道を穿てばまだ間に合う。華雄も気付いているだろう。
 思考していると軌道上に兵が飛んで来るのが見え、反射的に偃月刀の一振りで吹き飛ばしてしまった。
「……お前、邪魔すんなや」
 飛んできた方を見やると立ち塞がるは後ろで括った長い黒髪を風に棚引かせる一人の美女。
「我が名は関雲長。張遼、ここは通さん」
 名乗りを聞いて目を見開く。何故関羽がここにいるのか。右翼側の足止めのために精強な兵を集中していたので来れないと思っていたのに。
 関羽から溢れ出る闘気に身体が疼き、強者を求める武の血が騒ぐ。しかし今は構っている暇がない。
「一騎打ちしたいとこやけどなぁ。愛すべきバカ助けやなあかんねん。どけやぁ!」
 騎乗からの最速の一撃を放ち、受け止めた関羽を勢いのまま弾き飛ばす。しかし圧し下がっては行ったが倒れることは無かった。これが軍神か。自分の体が歓喜に打ち震えるのが分かった。
 関羽はこちらに睨みを聞かせながら口を開いた。
「私にも引けない理由がある。後ろには、傷つけてはいけない主もいるからな」
「ええなぁ、関羽。最っ高や! ほんならうちは通さんでええ。兵は……別やけどな!」
 手を挙げ一番隊に合図すると同時に周りの兵が騎馬で突撃を行う。華雄救出の道を作るために。
「なっ! 将を置き去りにするのか!?」
 兵に斬りかかりかけた関羽に自分が向かい、振り下ろされた偃月刀にこちらも振り上げで対処を行う。
「あんたは黙ってうちと楽しもうや! お前ら! 華雄助けて来い! それまでにこいつ倒して楽な道作っといたる!」
 まだ全体の戦況は五分五分、ならやりきって逃げるのみ。これは自分の部隊を信頼してこその行動だ。
 気合を一つ入れ、軍神と呼ばれる美女と無言で相対し、お互いに斬りかかろうとしたその時――――戦場に甲高い音が響いたのが聴こえた。



 特製の笛の音が戦場に鳴り響くと同時に最前列が敵に槍を突きだす。
 音の方に一瞬気を取られた兵から突き殺される。
 もう一度鳴らすと最前の兵は皆が同じ動きで下がりながら道を開ける。
 後方に構えていた次列の兵が間を縫って突撃し戸惑っている敵に止めを刺す。
 もう一度、さらにもう一度と同じ動
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