彼は一人怨嗟を受ける
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に戦場の合間を抜けて突撃してきた敵兵が一人見え、近づいて来たその首を自分の武器である大鎌の一振りで斬り飛ばし、
「はは、残念。無様だねー」
笑いながら吹き出す鮮血を身体に浴びないように首の無い死体を蹴り倒す。
死体が地に倒れた瞬間、自軍の兵が空を飛ぶのが見え、自分の部隊が分かれて道を作った。
「張コウ〜〜〜!」
なかなか速いじゃんか。しかもそこそこ強いのか。
「さっすが忠犬! 速い速い!」
「貴様だけは私が殺す!」
怖いなぁ。そんな怒らなくていいじゃん。あたしが怒らせたんだけどさ。
「ばーか。やってみな、雑魚が」
接近同時の単純な戦斧での大振り、予測していたモノより速いが軽く避けきる事が出来た。ちょっと痛めつけないと文醜には荷が重いかな。
斧が振り切られた場所の地面が爆ぜ、鈍い音を轟かせて土が飛び散った。
眼前に迫る土くれを鎌の一振りで払いのけ、返しの刃で反撃に移る――だが斧を素早く引きつけながらの振り上げで軽くいなされた。この女、意外とめんどくさい。
「貴様には誇りがないのか!」
「んなもんない……よ!」
戦ってる時に喋るなようざったい、と思いながらも口には出さず、返答と同時に巻き込むように鎌を大振りする。
しかしそれも弾かれ、反発する力に腕がギシリと軋む。華雄はすっと目を細めて斧を掲げ、
「そうか! ならばただ首を置いていけ!」
さっきまでとは段違いな速さでの一撃を放ってきた。
「ぐっ!」
あまりの速度変化に回避が間に合わず、馬鹿力の一撃を受けてしまった。地を蹴って少しでも衝撃を受け流すと自然と距離が開く。
前言撤回だ、文醜だけじゃ勝てない。本気で戦ってもいいがあたしがここで縛られ続けるのも厳しい。
もうちょっと時間かけたかったけどまあいっか。とりあえず作戦通りに。
「あーあ。あんたなんかに構ってらんないや。んじゃね。張コウ隊引けー!」
出来るだけ弱く見せての撤退。こちらは本気で崩れ始めてるから相手は罠にかかる。
引き始めると両軍が助けるように押し返して、さらには敵軍に矢が放たれ追撃が鈍った。
「逃げるな張コウ!」
「やだ、逃げる」
華雄の怒号に対して振り返りながら舌をだして最後の挑発をしておいた。
追ってこい。隊をつれて、他を蹴散らして。夕、時機は任せるよ。
鍛え上げたはずの精兵たちでさえ振りなどでは無く実力で圧されていた。これが賊相手ではない兵同士による戦か。
「怖気づくな! 我らは寡兵なれど鍛え抜かれた精兵!」
言い放って最前へと飛び出し、挙って私に向かい来た敵兵を偃月刀の横なぎで一息に斬り飛ばす。
「見よ! 所詮は賊兵! なんのことはあらん! 正義は我らにあり!」
そのまま奮い立たせるために先頭に立つことにし、戦いはじめてすぐに
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