暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
ALO
〜妖精郷と魔法の歌劇〜
人を超えるという事
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つ少女の身体に、二対の致死の翼が死神の鎌のように振り下ろされた。
『────ッッッ!!!ごォぉあアアああああぁぁぁぁっッッっっっっっッッッッ!!!!!』
その瞬間になって、ようやく脳から発せられる神経信号が指の先にまで到達した。
ピクリと人差し指が動き、その動きに従って黒衣の剣士が虚ろな顔をしたままで加速する。
だが、その身体が両者の間に滑り込む前に、グルリと首を巡らせ、漆黒のコートの裾を翻しながら向かってくるキリトの姿を目視したレンは────
『────────────ッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!』
無音の咆哮を放った。
それは物理的な力を伴い、反則的とまで言える衝撃を黒衣の剣士に叩きつけた。
埃のように吹き飛ばされる身体。
それでも吸収されなった、余りものの衝撃は空間を不気味に軋ませた。ミシミシ、という家鳴りのような音がそこかしこから響き渡る。
もう一度首を巡らせ、改めてレンは狂楽と対峙した。
ノドが、干上がったように痛かった。
今や、潮風のように途切れることなく吹き付ける殺気は抗い難いものとなっていた。気を抜けば一瞬で正気を保っていられなくなるような、そんな異常な空間。
その中で、一人の《鬼》は思考する。
目の前の存在は、一秒を万の単位で割けた時間で自分を殺せるだろう。
ならば何故、今自分はこうして呼吸をしていられ、あまつさえ真正面から対峙できているのだろうか。
《尾》による波状攻撃。
《翼》による双方向斬撃、及び飽和爆撃。
どれも己の命を消し飛ばすことなど簡単だ。オーバーキルと言ってもいいほどに。
ならば何故?
命を消す事に躊躇いを覚えているのだろうか。あるいは、自分ではなく、今宿主としているこの少女を殺したくないという事か。
《鬼》はそう考え、すぐさま胸中でイヤイヤと首を横に振る。
今のこの少年に、そこまでの心理的、倫理的な概念があることすら疑わしい。
そもそもこの少年は、SAO時代に「力を得たいから」という理由のみで二百人を超える
殺人者
(
レッド
)
達の命を刈り取った《冥王》だぞ?
第一、先程の攻撃の最中、こちらを射殺さんばかりに睨みつける二つの瞳には、殺意以外の何物も存在してはいなかった。
ならば、人を殺すのに躊躇が無く、さらに相手は殺したいほど、消し去りたいほど憎悪する敵。このシチュエーションで《殺す側》が動かない矛盾。
それは何だ?
ソ
(
・
)
レ
(
・
)
に気が付いた時、《鬼》の口元に浮かんだのは心の底から嘲るような笑みだった。
そこから導き出せられる唯一の絶対解。
アハァ、という囁きが思わず漏れる。それほどに単純で、明快な回答だったのだ。
つ
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