第三幕 日本に来てその二
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「それは使うよ」
「わかりました、じゃあ」
「さて、船のチケットとビザだね」
今度はこのことについて言う先生でした。
「そっちの手続きもしないとね」
「兄さん、日本に行くって?」
ここで来客です、サラです。
「そういえばこの前日本のお話がちらっと出てたけれど」
「うん、そうなったよ」
「まさか本当に行くなんてね」
「僕も思いも寄らなかったよ」
「そうよね、とにかくね」
「とにかく?」
「日本でも元気でね」
こうお兄さんに言うのでした。
「兄さん一人じゃ何も出来ないけれど」
「僕はそんなに頼りないかな」
「それじゃあ動物達やトミー君がいなくても何でも出来る?」
「そう言われるとね」
先生も困った顔で返すしかありませんでした、そうしたことについては。
「難しいね」
「ほら、だからよ」
「僕が日本に行っても心配なんだ」
「日本のお水はイギリスのよりずっといいらしいけれど」
それでもだというのです。
「食べものにあたらない様にしてね」
「そうだね、気をつけないとね」
「大学の先生になるのならちゃんと講義に出てね」
「わかってるよ、そのこともね」
「後は。出来ればだけれど」
「出来ればって?」
「結婚相手も見付けてくれたら」
このこともです、サラはお兄さんに言うのでした。
「いいけれど」
「ううん、結婚相手だね」
「日本は可愛い娘が多いみたいだし丁度いいわ」
「大和撫子だね」
「あっ、それは伝説みたいだから」
大和撫子についてはです、サラはすぐに否定しました。
「実際は日本の女の人もイギリスと同じでね」
「元気なんだ」
「多分イギリスの女の子達より元気よ」
「そうなんだ」
「だってイギリスはいつも雨よ」
雨ですから外に出にくいです、それでどうしても大人しめの娘が多いというのです。
「日本はいつもお外に出られて遊べるから」
「だからなんだ」
「多分日本の女の子はかなり元気よ」
「ううん、元気は女の子は苦手だよ」
先生は男女交際についても苦手です、世の中のことについては結構疎い先生ですがこうしたことについてもなのです。
「困ったねえ」
「けれど兄さんだって何時かは結婚しないと」
「駄目だっていうんだね」
「そう、日本ではそうした相手も探してね」
「何とか探すよ」
「仕事を用意してもらったし後はね」
結婚相手だというのです。
「本当にそっちもしっかりしなさいね」
「何か日本でやることは多そうだね」
「多いに越したことないでしょ、暇よりは」
「本を読む時間あるかな」
「それ位あるでしょ、あとはね」
「あとは?」
「ビザとか日本に行く船のチケットとかは?」
サラもこのことについて言ってきました。
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