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乱世の確率事象改変
集う諸侯とそれぞれの思惑
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あるまいし……と考えたが鈴々を見ると何故か行ける気がしてしまった。
「それにもし引きずり出せたとしても私たちが受け止める事になるんじゃ……」
 不安そうに発言する桃香だったが朱里がビシリと指を立てた。
「大丈夫です。ひと当てしてから中軍に構える袁紹さんに流すつもりですから」
「えぇっ!? 兵糧や追加の兵士さんでかなりお世話になってるのに!?」
「そういうもんだ桃香。こういうのも作戦なんだよ。俺達だけが無理しなくていいんだ」
 世話になったからと言って俺達だけで全てと戦わなくてもいい。使えるモノは親でも使えというわけだ。問題は来る将が乗ってくれるかどうかだが。
「秋斗さんの言う通り、まだ私たちは弱小なので理想のためには耐える時です」
 朱里の言葉に雛里の表情が少し曇る。話を変えないといけないな。
「じゃあ軍の配置はどうする?」
「鈴々は前衛がいいのだ!」
「こら、鈴々。朱里と雛里の配置案を聞いてから意見しろ」
 愛紗、お前は鈴々のお母さんみたいだな、とは言わないでおいた。
「え、えと。私たちは左翼なので配置は左先端に鈴々ちゃん、右に愛紗さんでお願いしたいです。機を見て斜型陣に近い形に移り、後陣に秋斗さんを置いて中軍への流しに対応して貰おうと思います」
 つまり鈴々は前にいればいいだけ。一番激しい場所になるだろうが、中央側では無いからさすがに大丈夫ではあるか。
「一番戦闘が激しく長くなりますが、鈴々ちゃんの部隊は我が軍でも一番突破力に優れているので耐えきる事ができるでしょう」
「ただ、あまり突出しすぎると孤立してしまうので愛紗さんは状況に応じて動いてあげてください」
「任された」
「了解なのだ!」
 愛紗なら鈴々との連携もうまいしいいだろうし問題ない。
「さて、問題は挑発だが……」
「軍議中失礼致します。袁紹軍の軍師の方がお見えです」
「わかりました。お通ししてください」
 袁紹軍の軍師がわざわざ俺達の元へ会いに来るとは何事なのか。いろいろと考えが浮かんでは消えを繰り返していると、
「ちわー。もう軍議始まっちゃってるー?」
 軽い言葉とともに彼女たちは天幕に入ってきた。
「明、まず挨拶。急な訪問申し訳ない。私は袁紹軍軍師田豊。こっちは補充の将の張コウ。今回の先陣で行う事の詳細を聞きにきた」
「劉備軍の皆さん。そんな感じです。よろしくねー」
 底抜けに明るく緩い張コウと物静かでどこか機械的な田豊。二人の温度差が違い過ぎてそのギャップに茫然としてしまう。
 何故か朱里の表情が少し曇っていた。二人が苦手なんだろうか。
「わざわざご足労をかけさせてすみません。朱里ちゃん、説明してくれる?」
「は、はい。桃香様!」

 †

 あらましの説明は聞いた。
 挑発。明の十八番だ。どれだけの人間を怒りの波に
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