集う諸侯とそれぞれの思惑
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顔にしたくておどけてみせた。心配性さんめ。
「夕だけはあたしが守るから安心して、後ろでどっしりと本初の間抜け面眺めてたらいいんだよ」
「ふふふ、それは見るに堪えない」
自分の、忠誠を欠片も抱いていない主のそんな顔を想像してか、クスクスと笑う仕草があまりに可愛くて、思わず抱きしめてしまう。
「明、苦しい」
きゅっと抱きしめた身体は小さくて簡単に折れてしまいそう、そのくせ自己主張の激しい胸は柔らかくて気持ちいい。
温もりは変わらず、私が守りたいモノの存在をしっかりと確かめさせてくれる。
「……今は我慢してね。きっとあの人と一緒に連れ出してみせるから」
「……ありがとう。でもやっぱり無理しないで」
大丈夫、あなたのためなら頑張れるから――とは言わなくても伝わっている。
それに、夕の頭脳があれば何も心配はいらない。この子ほど頭がいい人間は未だに出会ったことが無いのだから。
「そういえば桂花がいた」
「あ、やっぱり来てたんだ。元気そうだった?」
話に出たのはもう一人の大切。夕と私の共通の友達で……昏いモノに気付く前にこの地獄から先に出してあげられた人。
あの子も強がりだから心配だったんだよね。
「大人の階段昇ったみたい」
「え? ……ああ、そゆこと。曹操軍は百合百合しかったもんねー」
突然告げられた事実に驚愕し、思考が止まったがなんとか正確に理解できた。桂花が男に身体を許すなんてあるはずが無いのだから。
今度会ったら三人でお茶会でもしたいな。もう無理だろうけど。
「気にしないでいいのに私に気を使ってた」
「桂花も優しいからね。夕と同じで」
ホント相変わらずだ。まあ元気そうで何よりか。
「……それより明、男の匂いがする」
「あちゃー。ばれた? 噂の黒麒麟がいたからちょっと絡んでみたんだ」
どんな嗅覚をしてるんだこの子は。少し擦り寄っただけなのに嗅ぎ取るなんて。
「何もされなかった?」
「全く。あいつは他の男どもと違って信頼出来そうだったよ」
「……そっか。明が言うなら安心。私も会ってみたい」
珍しい、夕が自分から男と会ってみたいと望むとは。桂花ほどじゃないけど夕も男が嫌いなのに。私は隊のバカ共で慣れてるけどさ。
「じゃああたしらに協力してもらいに話しに行こうか」
「……ん」
黒麒麟がいるなら劉備軍との連携は結構できそうだ。あの男は多分――
†
軍議の議題はシ水関への攻撃について。
「敵将の華雄さんは武に誇りを持った方だと聞きますのでそこを攻めてみようかと」
「挑発を行うということか?」
「はい。ただ乗ってくれるかどうか」
「安い挑発じゃ乗らないんじゃないか?」
朱里の提案には賛同しかねる。正直、一軍を預かる将がその程度だとは思えない。まさかとは思うが猪じゃ
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