集う諸侯とそれぞれの思惑
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してくれた。
「ほら、こういうところが憎たらしいからいやだ。こいつのことは嫌いじゃないしおもしろいし、むしろ好きだけど」
軽くそう言うと怒ったのか顔を真っ赤にして星の腕の中で暴れ出す牡丹。そんな怒るなよ。
「……くっくっ、秋斗殿はいつもそんなだから牡丹も真名で呼べないのですよ」
「何がだ? 痛っ!」
「ばーかばーか!お前なんか馬に踏まれて縮んじまえばいいんです!」
俺の脚にナイスローキックを喰らわせて星の腕をするりと抜け走り去り、牡丹は遠くでべーっと舌を出した。しかし何故蹴られなきゃならんのだ。
「あははは! やはりあなたがいると楽しい」
「……笑い事じゃないぞ星。凄く痛い」
「それは自業自得でしょう。秋斗殿は乙女心をもっと勉強しなされ。さすれば牡丹などコロリと言う事を聞いてしまうに違いない」
全然わからん。モテたことがないんだから勉強するも何もないだろう。
疑問が頭を支配するがどうにか振りきり、そういえばと思い出した事柄を星に尋ねてみる。
「それよりも、星は正式に白蓮のところに仕えたんだってな」
星は烏丸討伐の後、白蓮に忠誠を立てたらしい。道すがら声を掛けて来た兵の一人が自慢げに教えてくれた。自分は昇竜の部隊になった、と。
「ええ、天下一を目指すのもいいがそれよりもあの方の家を守りたいと思いましてな。退屈はしませんし」
「そりゃあよかった。白蓮一人じゃ心配だからな」
あいつは強いが寂しがり屋だから。星もそれが分かっているのか喉を小さく鳴らして苦笑し、
「違いない。あなたがいれば尚よかったのですが?」
「すまんが願いの為だ、容赦してくれ」
ふう、とため息を尽きながら言われた事に少し申し訳ない気持ちになる。
「冗談ですよ。距離は離れていようとも、心は絆された友。そうでしょう?」
「クク、嬉しい事を言ってくれる。この戦が終わればまた酒でも飲みたいもんだ」
「いいですな。そういえば店長は今、曹操殿の所に支店を出したそうで」
彼女の気遣いと、本心から紡がれたであろう嬉しい言葉に、胸がじんわりと暖かくなった。懐かしくなって酒の話をすると、いつもの宴会の場と関連付けたのか店長の話が飛び出した。
曹操のとこか。思ったよりも早かったな。
「店の名前は?」
「娘娘ついんて、らしい。給仕が全員髪を二つに括っているとか」
衝撃の事実を突きつけられて思わず吹き出してしまった。出会って間もない頃に他愛のない会話で教えたモノがそのように生かされたとは思わなくて。
店長め、いくら自分の店だからって遊び過ぎだろうに。
「おお! 秋斗がいるじゃないか! 私も混ぜろよ!」
どうやら会議が終わったのか白蓮が戻ってきた。はしゃぐ声は幽州に居た頃とちっとも変わらない。そしてこんな風に話しかけてくる時は友達としての対応
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