暁 〜小説投稿サイト〜
乱世の確率事象改変
集う諸侯とそれぞれの思惑
[4/13]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
難しい一手になったかもしれない。諸侯達は膠着して動けなくなったのだから。
 責任の所在が明らかになってしまったらどんな無理難題を押し付けられるかたまったものではない。
 袁紹さんもやはり食えない人なのかも――
「え? 袁紹さんじゃダメなんですか?」
 茫然。真っ白になった思考のまま、口をあんぐりと開けて桃香様を見やる。
「そうね。私も麗羽でいいと思うわ」
「ああ、そうだな」
「それがいいと思うのじゃ」
 その間に機を得たとばかりに諸侯の方々が口々に賛同の意を示した。やっと思考が回り出したが、これは大変な事になってしまった。
(と、桃香様! このままでは不利な条件を飲まないといけなくなります! 何か策があるんですか!?)
(うーん……このまま膠着したら周りの諸侯さん達も戦前にピリピリして連携がうまくいかなくなっちゃうでしょ? そのほうが被害も増えるしダメだと思ったんだ。)
 綺麗な瞳に見つめられ、純粋な想いから来た発言であることに自身の心が揺れ動いた。
 この方は本当に……だがこのような方だからこそ私が才を振るう意味がある。
(では後は私に任せてください)
(ごめんね。ありがとう朱里ちゃん)
 私を信頼してくださっての事だったのかもしれない。ならそれに全力で答えよう。
「あなたは……劉備さん、でしたわね。あなたのおかげで責任の重大な総大将になってしまいましたわ。そのお礼としてシ水関先陣の誉を差し上げます。あなたの所の将は優秀だと聞きますし」
「ええっ!?」
 やはり無茶な事を押し付けられてしまった。
「本初。劉備軍だけじゃ全然足りない」
「なら白蓮さんも偵察ついでに先陣にお立ちなさいな。あなたたちは仲がよろしかったようですし。連携もうまくいくのではなくて?」
「なっ!」
「それでも足りない。歩兵を増やすべき」
 田豊さんの言葉を聞いた袁紹さんは事も無さげにふいと顔を逸らして、公孫賛様にも無理やり先陣を押し付けた。
 巻き込ませてしまったが公孫賛様の軍が参加してくれるのは嬉しい。ここで提案しよう。
「で、では先陣の条件として袁紹軍の勇士と兵糧を私たちの軍に貸していただけないでしょうか。していただければ袁紹軍の名も更に上がることでしょう」
「……数は?」
「一か月半と七千でどうでしょうか」
「却下。話にならない」
 ここからは下げて行くだけ。名門ならば、諸侯達の前で器の大きさがどれくらいか示すのも大切な事だろう。
「では一か月半と六千」
「無理」
「一か月半と五千」
「無駄」
「一か月分と五千」
 田豊さんは中々しぶとい、というより最低限示せる所をしっかりと見極めているのか。
 私達にはこれだけは最低限欲しい。しかしにやりと笑って告げられる。
「無意味」
 この人……そういう事か。公孫賛様
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ