焦がれる雛は
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れたくなかったり、その人の事ばかり考えちゃうんだって!」
説明を聞いて思い至る。確かにそのようなことだと本では読んだ覚えもある。でもこれがそうなんだろうか。
「気付きにくいけど気付いたら早いんだよー」
「どうしてそれを――」
「私も徐晃様のこと好きだもん! だから負けないよー!」
言いきると悪戯っぽくペロリと舌を出しておどけてから秋斗さんの方へ行ってしまった。
茫然と見送りながら思考がゆっくりと回り出す。
私は秋斗さんに恋している?
自問に対して自分のこれまでを思い返してみた。
思えば幽州の時からすでに目で追っていた。義勇軍に入る時は離れたくなかった。一緒にいると恥ずかしくて、暖かくて、秋斗さんのことばかり考えている。
ああ、そうか。私は恋をしている。
気付いたらすっと心が楽になった気がした。もう私は、ずっと前からそうだったんだ。
「お前達、今日はありがとうな。おかげで元気でたし仕事を頑張れそうだ。あとすまないが俺達はそろそろ行かないとダメなんだ」
この暖かい人が
「えぇー! 次は蹴鞠したかったのにー。」
「許せ、また今度な。それとお前たちも早く帰らないとしまっちゃうおじさんが来るぞ」
この優しい人が
「え!? わ、わかった! 絶対だよ!」
「ああ、約束だ」
私は大好きなんだ
「雛里? 何ぼーっとしてるんだ。そろそろ行くぞ」
「ひゃ、ひゃい!」
いつの間に近づいたのか、いきなり声をかけられて噛んでしまった。恥ずかしい。
「徐晃様またねー」
「お姉ちゃんもまたねー!」
手を振り返して子供たちと別れ、私たちは二人きりで街道を歩き出した。
「少しは息抜きになったか?」
「はい、とても」
彼の問いかけにも、先程気付いてしまった自分の気持ちから返答が短くなってしまい、その後の言葉が繋がらない。
「どうかしたか?」
「い、いえ」
「……クク、幽州でホットケーキ食う前みたいになってるぞ」
可笑しそうに笑いながら言われて思い出す。確かにあの時みたいになっている。そういえばあの時は――
「ふふ、そうですね。……じ、じゃああの時は帰り道でこんな感じでした。」
勇気を出して手を繋いでみた。自分でも驚くような大胆な行動をしてしまったため、鼓動が速くなり、顔が熱くなる。
「お、おう。そうだったな」
今度は秋斗さんが恥ずかしがって顔を逸らし、言葉が少なくなった。
そういえば秋斗さんは私の事をどう思っているんだろう。
私と同じ気持ちなんだろうか。
なんとも思ってないんだろうか。
また、胸が締め付けられた。
今はまだいい。
もっと私の事を見てもらいたい。
この人自身に私と同じ気持ちになってほしい。
もっと私が努
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