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乱世の確率事象改変
焦がれる雛は
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褒めてくれる。恥ずかしかったけど、楽しい。でも――
「ご、ごめんなさい。次はいつになるか……」
 忙しくて一緒に練習はできない。
「凄くよかったぞ皆! だけど雛里も俺も忙しいからなぁ。また来た時は一緒に遊んでくれるか?」
 落ち込んで話す私を見てか秋斗さんが上手く繋げてくれた。
「わかった!」
「また来た時は一緒にしようね、お姉ちゃん!」
 優しい子達だ。彼女達を見て、私達はこの笑顔のために戦ってるんだと自覚する。
「ありがとう」
 お礼を言うと秋斗さんにまた集まり始める。こんなに好かれて、楽しそうな笑顔をみせて。
 こんな風に子供と笑いあってる姿が本当の秋斗さんなんだろうな、と思う。
 戦場で鬼神の如く戦う姿は仮のモノで、本来は優しくて暖かい――
「あ、お姉ちゃん徐晃様のこと見つめてる!」
「しかもすっげぇ優しい顔してたぜ!」
「徐晃様の事好きなんじゃない?」
「お姉ちゃん徐晃様の事好きなんだー!」
「あわわ!」
 思考に潜りながらじっと秋斗さんを見てしまっていたら不意に子供たちから奇襲をかけられる。顔が熱い、思考が回らない。
「こらこら、お前達あんまりからかうな。雛里が困ってるだろう?」
「えー、でも真名で呼び合ってるじゃん」
「じゃあ徐晃様もお姉ちゃんのことが好きなんだ!」

 ドクンと心臓が跳ねる。
 彼は……どうなんだろうか

「ん? 好きだぞ」

 さらに大きく心臓が音を放つ。うるさいくらいに耳に響き、手にじんわりと汗をかいてきた。
 この人は今なんて言った? 私のことが好き? 本当に?
 暖かい気持ちになり、気分が高揚して、思考の中で彼の事しか考えられなくなり、きゅうっと胸が締め付けられた。
「それにお前達のことも大好きだし」
 続けられた言葉に、なんだそういう事か、と高揚した気分が落ち込む。あれ?
「こうして皆で笑いあって遊んでる時間が大好きだしな!」
「あたしも好きー!」
「僕も好きだし!」
 秋斗さんが話すと口々に好意を伝え合う子供たち。
 聞きながらずるい、と思った。そして自然と――
「あわ、わ、私も、その……」
 自分もだと言おうとしたが尻すぼみになってしまった。どうしてだろう。子供たちと同じことができないなんて。
「お姉ちゃんちょっといい?」
 ちょいちょいと服の袖を引いて、まとめ役の一人が話しかけてきた。
「はい、な、なんでしょうか」
 何故かは分からないが頭が回らず敬語になってしまう。
「ふふ、お姉ちゃん徐晃様に恋してるでしょー」
「な、なな」
「あのねー、恋する乙女の目をしてるよー」
 彼女の話はしっかりと聞こえていたが、理解する事はできず答える事が出来ない。
「恋ってね、一緒にいると恥ずかしかったり、ドキドキしたり、暖かかったり、離
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