〜幕間〜 別の大陸制覇を目指す者
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すた専用の食器がございますのでこちらをお使いください」
三つ又の矛を小さくしたような食器と先が楕円形になった食器を渡され、食べ方の作法を説明してくれる。確かに麺は纏めたほうが食べやすい。
「どうぞ、温かいうちにお召し上がりください」
「「「いただきます」」」
促され、皆が一口目を口に入れる。
「「「っ!!」」」
あまりの美味しさからか三者三様に絶句してしまった。
これは……おいしい。
このあっさりとしながらも暖かくなる味。麺にほどよく絡んだタレの主は……貝からとったものか。
茸から香る山の風味と貝から香る海の風味が見事に合わさっている。
刻んであるこれは……大葉。薬味程度と侮れない。これは全てを引き立てつつ全てをまとめるいわば中心。
そしてこの麺。ラーメンほど柔らかくないこの麺はぷちぷちとすっきりした食感と噛みごたえを与えてくれる。
さらに口に残る感じもなく、すっと通る喉越し。
全ての食材がいくつもの世界を魅せてくれる。
ああ、これこそ食の素晴らしさよ。
「ごちそうさま」
「「ご、ごちそうさまでした」」
「皆様いかがでしょうか」
店主は桂花と流琉の食べている時の挙動に満足したのか満面の笑みを浮かべている。
「そ、その! 言い表せないくらいおいしかったです!」
「え、ええ。ふわふわとした卵と胸の奥まで温まるようなタレがまるで……はぁ」
桂花、だらしないわよ。
「そうね、私が今まで食べたことのない味だった」
店主がピクリと反応する。分かっているわ、私の負けよ。
「ふふ、おいしかった。他の料理もぜひ食べてみたい」
「ありがとうございます!」
そうね、あなたのような料理人は『おいしかった』とちゃんと言われたいのだから。
「こちらこそ。楽しい時間をありがとう」
「いえいえ、私はこれが生き甲斐ですので」
そう言って店主は少年のような笑顔で告げる。
「店主、私の城で働かないかしら?」
「ありがたい申し出なのですが……私には料理で大陸を制覇するという野望がありますので」
断られるのはわかっていた。だけどその野望、おもしろい男ね。さすがは徐晃の友、と言ったところか。
「そう、その野望が達成されること、この曹孟徳が保障しましょう」
「ふふ、必ずや。あなた様もご武運を。それと今回はお代を頂きません」
驚愕している二人はほっておきましょうか。
「それはダメだわ。満足させて貰った私達には払う義務がある」
「いえ、これは私の個人的な矜持ですので」
「……代わりに何かできることは?」
「ありがとうございます。では皆様、私の事を店長と呼んでくださいませんか?」
対価は何が望まれるのかと身構えても、ただ呼び方を指定してきただけ。不思議な男。
もしや……これを見越し
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