覇王と黒麒麟
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三騎駆けが頭を過ぎる。
あのような策を見せられたのだ。私も対抗心が燃えるというもの。
「ふふ、悪い顔。そういう冥琳の顔も好きよ」
「戦場の言葉ではないな。しかし先ほど戦場に行ったはずがすぐに祭殿に丸投げするとはどういうつもりだ?」
「だってこれからちょっとあっちに行くもの」
飄々と、楽しそうにそう言って劉備軍を指さす。
「向こうは城壁に沿って軍を敷くだろうからそのまま目の前の殲滅のお手伝い。ある程度片付いたら右翼に向かって一緒に突撃……ってね」
「結局お前がちょっかいをかけたいだけか」
ペロリと舌を出す雪蓮を見て頭が重くなったがどうにか片手で支え、じとっと睨みつけてやる。
本当にこいつは……まあ、しようと思っていたことの通りだが。あちらも上手く合わせてくれるだろう。
「うん。じゃあいってくるわね」
「ああ、こちらは任せろ」
ちょっと出店に行ってくるような雪蓮を見送ってから指示を出し始める。
さて、私の用兵は劉備軍の軍師達の眼鏡に叶うかどうか。
俺たちの軍は孫策軍の陣形変化のおかげでどうにか抜けきることが出来た。
中央よりの近づいてくる兵を斬り崩しながら陣形を整えさせる。
遅れて追随して孫策軍も切り抜けてきた。
やはり並の兵とは練度が違う。曹操軍に近い。しかし団結力は孫策軍が上に感じる。
観察していると先頭の集団の中から一人抜け出てくる。
「あなた、劉備軍の将ね。よろしく」
桃色の髪、褐色の肌、スレンダーな体躯。陽気な雰囲気で話しかけてくるが、とんでもない実力者なのはわかる。
「徐晃です。あなたは?」
「へぇ、あなたが黒麒麟。私は孫策よ」
その名前は自身の記憶にある小覇王のモノ。しかしなんでそんな人がわざわざ先頭に――
「めんどくさいから一緒に切り抜けようって交渉しに来たのよ」
顔に出ていたのだろうか、こちらの思っている事を読み取り、先に要件を話してくれる孫策。
「ありがたい申し出です」
すぐに伝令を呼ぼうとしたが、
「ああ、私たちはこのまま左翼、中央の敵をあらかた片付けた後に右翼側に突撃をかける。乗るなら合わせて、ってうちの軍師が」
にんまりと意地の悪い笑みを浮かべて一方的に話してきた。
悪戯好きの猫のような人だ。星と気が合いそうだな。
「了解しました。軍師に伝えておきます」
「ふふ、それとその堅そうな言葉やめて、なんか笑いそうになっちゃうから。素じゃないんでしょ?」
全く、どいつもこいつも敬語が気持ち悪いと言いやがる。
「わかった。申し出ありがとう、孫策殿」
「どういたしまして。じゃあそこらへんで戦ってるから。頼りにしてるわ劉備軍」
そう言ってさっさと戦場に戻ってしまった。もの凄くフリーダムなお姉さまだな。
一つ考えて呆気にとられて
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