飛ばされた先に〜
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けどね。今の私にとって思春は・・・越えるべき壁です。仲間でもありますが」
「で、でも・・・父親を・・・」
「・・・そうですね。今でもお父さんのことは忘れられません。けど、覚悟しなければいけなかったんです」
『覚悟、とは?』
「いつ戦が起きてもおかしくない・・・勝たなければ死ぬだけ・・・そんな世界に産まれた、だから・・・“誰かが死ぬ”その事実を受け止め、覚悟しなければいけないんです」
春鈴はそこまで言ってからクラナを見た。
「・・・失礼ですが、もしかしてクラナ様も・・・大事な方を亡くされたのですか?」
「・・・!」
『相棒・・・』
「・・・それで、あなたは誰か恨んでる人がいて、それを解決したいから私に話を聞いた・・・とか?」
「・・・半分、当たりです」
「・・・すみません。踏み込み過ぎましたね。・・・あなたの大切な人はまだいますか?」
「・・・はい」
クラナの肯定。それに春鈴は微笑む。
「なら大丈夫です。支えてくれる人がいれば・・・後は時間が解決してくれます」
「時間が・・・」
春鈴がそう言ったあと視線を逸らして頭を掻く。
「・・・なんて偉そうに言いながら、私は海を克服出来てないんですけどね」
『そう言えば・・・海が苦手ですか?』
「今度はアル様の質問に答えます。・・・正直苦手です。海は・・・私の大切な人を二度も奪っていきましたから」
『それは・・・』
「海は・・・私にとって死神も同然なんです。何時も・・・私がいない時に奪っていく・・・!」
「凌統さん・・・」
「・・・春鈴でいいですよ。二人とも」
「・・・けど」
『“真名”と言うのはとても大切なものだと・・・』
「真名は命と同じです。それを呼ばせると言うことは、その人に命を託すということ・・・クラナ様たちには私の命を預けるに値する人間だと言う意味です。・・・まぁ、亮様の知り合いの方々は皆預けるに値してるんですが・・・あはは」
「だったら・・・」
「はい?」
「・・・俺も、様を付けるのは・・・止めてください」
『出来れば私も・・・』
「あ・・・す、すみません。癖で・・・分かりました、クラナさん」
「・・・えっと、改めて・・・お願いします、春鈴さん」
「はい。・・・えと・・・その・・・すみませんが・・・」
笑顔を浮かべた春鈴だが・・・徐々に顔色がまた青ざめていく。
「気が紛れたかと思いましたが・・・す、すみませんっ!!」
再び春鈴は海の方を向いて吐き出す。
「・・・」
クラナが近づき、春鈴の背中をゆっくり擦った。
「す・・・すみま・・・うぇぇぇぇ・・・」
アレだけ吐いた
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